2021.09.14
3Dアートの先駆者 ジェームス・リジィ
子どものようなイメージと鮮やかな色使い、彼の作品は飛び出す絵本のように楽しく、見る角度によって様々な表情を見せてくれます。今回はシルクスクリーンを用いた3Dアートの先駆者として知られるポップアーティスト「ジェームス・リジィ」をご紹介します。
3Dシルクスクリーン技法の先駆者
彼の3D作品は、シルクスクリーンでプリントした作品に着色し、平面に描かれた絵柄にスポンジなどを載せて、その上に同じ絵柄を切り抜いたものを置くことで、切り抜いた部分の絵だけが浮いて見えるという手法を用います。
後にトレードマークとなるこの手法を身につけ、グラフィックアート、ペインティング、彫刻を組み合わせた3Dマルチプル作品を完成させます。リジィは何気ない街の雰囲気を感じさせつつ、日常生活の中でどこにでも潜む何気ない瞬間を、独特の感性とスタイルで3Dアートという手法で表現しました。
マンハッタンから世界へ
1975年マンハッタンのソーホー地区に居を構えたリジィは、その後の人生をここで過ごすことになります。ブルックリンハイツやワシントンスクエアでの野外アートショーに参加するようになり、近代美術館やメトロポリタン美術館の外で作品を販売しました。
小規模なグラフィック作品で注目を集め、1976年にはブルックリン美術館で展示がおこなわれました。アメリカ、ドイツ、フランス、イタリアなどの公共機関や企業の広報活動、また世界各地のバスや車、飛行機や建造物などにも作品は使用され、日本では小学生用の英和辞典のカバーデザインやファミリーレストランのメニュー表紙、銀行通帳の表紙にも採用され話題になりました。
アトランタ・長野オリンピック公式アーティスト
1996年のアトランタオリンピックや1998年の長野オリンピック、同年のサッカーワールドカップフランス大会の公式アーティストにも任命され、アトランタオリンピック開会式の様子を描いた一連の作品は、現在スイス・ローザンヌのオリンピック博物館に所蔵されています。
平面から飛び出して見える立体化された3D作品は、見る角度や照明によって様々な表情を見せます。新鮮さと、個性豊かなモチーフ、どの作品にも一貫した要素としてある、明るさと楽しさは、見るたびに新たな発見がありいつまでも飽きさせません。