2019.10.08
金魚養画場主 深堀隆介
日本の夏の風物詩と言えばお祭り。お祭りの定番と言えば金魚すくいと連想される方は多いのではないでしょうか。今回は金魚をすくうのではなく、金魚に救われた作家。深堀隆介(ふかほり りゅうすけ)を紹介いたします。
深堀隆介の代表作「金魚酒」
深堀隆介は愛知県名古屋市出身の作家で、前職のデザイナーを経た後に創作活動を始められました。
最近ではよくメディアにも取り上げられていますので、既にご存知の方も多いのではないでしょうか。
深堀の代表的な作品は「金魚酒」。
木曽檜枡にエポキシ樹脂とアクリル絵具を何層にも重ね合わせることにより、金魚を描いていきます。
層を重ねることにより生まれるのは影。
この影が立体感と躍動感を生み、まるで樹脂の中に本物の金魚を閉じ込めたかのような錯覚に陥ります。
樹脂が表現する水の波打つ表現も非常に美しく、見ているだけで涼しげな気持ちになります。「金魚酒」は深堀にとっても特別なシリーズ作品であり、「完成度が最も高く最も思い入れのあるシリーズ」と公言している程です。
製作工程自体はシンプルなものですが、層を重ねて製作する以上、一度次の層の樹脂を入れたらやり直すことはできません。どれ程素晴らしい工程を重ねていても、最後の一層で失敗してしまい、全てがダメになってしまうこともあるとのこと。
数えきれないほどの失敗と試行錯誤を繰り返して生まれてくる作品だからこと、見る人を魅力し感動させてくれるのでしょう。
「金魚酒」から広がる作品バリエーション
さて、深堀の金魚が生きる場所は何も枡の中だけではありません。
銭湯で使う洗面器、ビニール袋、桶や裏返った傘の中央に出来た水溜まり等々。
題材が大きくなれば大きくなるほど、金魚の数も増えますし、沢山の金魚が躍動している様は圧巻です。
枠に捕らわれないアイデア、バリエーションの多さも魅力の一つです。
興味のある方は是非一度ご覧になってみてください。
きっと彼の作品の魅力にすくわれることでしょう。