2019.08.20
異色異端の芸術家 北大路魯山人
美術、芸術とは無縁の人でも、一度はこの名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、名前は聞いた事があっても、どの様な人間かと問うと「芸能人?料理系の偉い人?」などはっきりしない答えが返ってきそうな人間だと思います。実際、私もこの業界に入る前は、「聞いたことがあるけど誰だっけ…」という感じでした。
【簡易略歴】
北大路魯山人、本名「北大路房次朗」(きたおおじふさじろう)
1883年(明治16年)3月23日 ~ 1959年(昭和34年)12月21日
20世紀を代表する日本の芸術家で、画家、書道家、篆刻家、陶芸家、漆芸家などといった様々な分野で才能を発揮し、生涯に残された作品は30万点と言われ、特に陶芸作品は人気があり、評価が高く、全国各地に熱心なコレクターがいます。
師を持たず、弟子を持たない孤高の芸術家
異色異端の芸術家にして近代陶芸の父とも云うべき人物。一生涯、師というものを持たず、創作の原点を「自然」に求め、書、篆刻、絵画、陶芸において人並ならぬ才能を開花させた「魯山人」自身の言葉があります。
「僕は書にしても、篆刻(てんこく)にしても、料理も陶芸もすべて独学で先生を持ったことがない。それでも結構やっていける。今にして思うと一人も師を持たなかったことは幸いであったと思う。どうしても師には縛られるし、学閥、門閥といった不自由なものが多いから・・・。自分が先生を持たなかったせいか、一人の弟子も作らない。覚えたいなら勝手に覚えるのがいいと思う。人にものを教えるという傲慢な精神は、僕は嫌いである。だから僕は天涯の孤独を楽しんでいる。」
また、魯山人は平素から「無位の真人」 という言葉を標榜していました。芸術家は作品が何よりであり、位階勲等とは無縁であるべきという信念を持っていたようです。
高い美意識と毒舌家の一面
性格は無遠慮で気難しく偏屈、口を開けば他人の悪口ばかりの毒舌家であったそうです。彼自身の美意識に従って歯に衣着せぬ言い方で他者の作品を批評する事もあり、敵も多かったと言われています。そんな生き方が出来たのは、彼の持つ素晴らしい天賦の才能と芸術に対する深い愛情により、今も昔も多くの人を惹き付ける作品が生み出されたからなのでしょう。