作家・作品紹介

現代茶道の祖 即中斎

現代茶道の祖 即中斎

茶の湯の歴史

日本では昔からお茶が好まれ、コンビニや自販機でも色々な種類のお茶が売られていますね。個人的には、「お~いお茶」と「爽健美茶」が好きで愛飲しています。美術業界においても、茶道具という点でお茶には深い関わりがあります。
現代まで連綿と引き継がれてきた茶道、その祖は千利休という認識は恐らく一般的に広く認知されていることではないでしょうか。それ自体は間違ってはいませんが、茶の湯の歴史はもっと深く、奈良時代まで遡ります。中国の陸羽が著した『茶経』がその頃に日本に伝わったことで、茶の知識が根付き始めたと言われています。一節には、千利休はこの陸羽(リクウ)を意識して利休(リキュウ)と名乗ったのではないかとも推察されています。


現代茶道の祖 即中斎

激動の時代を生きた表千家十三代目家元

無盡宗左 即中斎は、千利休の広めた茶道の流派を汲む表千家・裏千家・武者小路千家からなる三千家の表千家十二代家元の惺斎敬翁宗左の次男として生を受けました。明治・大正・昭和にかけて激動の時代に生きた氏が家元を襲名した年は日中戦争が勃発し、翌々年には第二次世界大戦が勃発するという社会的に不安定な時期でもあり茶の湯を嗜めるような状況ではありませんでした。にも関わらず、即中斎は戦時中から茶道の発展に精力的に尽力し「表千家同門会」を設立します。その後も表千家を「財団法人不審庵」として財団法人化、同門会を社団法人化することで古式に囚われずに組織を現代社会の実情に即したものに刷新し、より一層茶の湯を全国に広めました。国内のみならず海外への展開にも力を入れ、現在の表千家の体制の基礎を固めた即中斎の功績が甚だ大きいからこそ現代茶道の祖とまで呼ばれているのだと思います。

戦後復興の意味も込めて全国各地の寺社仏閣を巡り、多い時には半年で100ヶ所以上を巡って献茶を行う等、バイタリティにも溢れた即中斎の好み物は現在でも多く残っており人気があります。その理由の一つは、即中斎が古流に固執し過ぎる事なく、その時代に沿った現代様式を取り入れた作品も好んだ事でしょう。古きに過ぎず、斬新にも過ぎず、古流の良さを残しながら現代的な機能美も備えた品も多いので現代に生きる人間の心をも打つのだと思います。

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