2020.10.20
現代アート作家 鈴木英人
近年、日本のアニメ・漫画(MANGA)が再評価されています。もともと国内外にファンを育ててきている市場なのですが、近年ではコレクションとしての美術的評価も高まっています。
漫画の神様「手塚治」の手書き原稿などは海外のオークションにて3500万円程で落札されたりもしており、海外での評価の上昇を受け、国内の老舗オークション会社でも「MANGAオークション」を開催。好評を博したことから、他のオークション会社でもセル画や手書き原稿が続々と出品され益々市場の広がりを見せています。
実は日本の美術界には、MANGAとは少し違う、もう一つの注目の市場が存在しています。それはイラストレーターの世界。今回はイラストレーター・版画家として第一線で活躍を続ける「鈴木英人」をご紹介したいと思います。
福岡県博多に生まれた鈴木英人は、1971年頃より広告デザインを手掛け、1980年にイラストレーターとてデビュー。さまざまな企業のデザインをおこないその評価を確立していきます。
音楽関係のデザインも手がけており、山下達郎のレコードジャケットをはじめ、桑田佳祐やTUBEなどのアーティストのカバー、FMステーション誌のカバーデザイン等、多数制作しています。
また、神奈川県逗子に在住ということで、以前弊社を紹介していただいたこともある「湘南ビーチFM」の季刊情報誌の表紙も長年手掛けられています。原色を用いてPOPながらも爽やかなに仕上げられる作品は、夏や海岸線をイメージするのにぴったりです。
版画家としての、英人はアメリカ西海岸を思わせる風景や看板、車や船、海岸をモチーフとした作品を多く残しています。中でもポルシェをモチーフとした「スピードスターと過ごす正午」や「ポルシェ356スピードスター」は作家を代表する人気作品で弊社でも高額査定対象となっています。
英人作品の最大の特徴はグラデーションを実線であらわすような独自の表現法です。その表現法はパントーンオーバーレイ技法とよばれています。
通常原画とよばれるものは油絵やアクリル、水彩画などが多いのですが、これは英人の作風を生かすために生み出された独自技法で、アニメのセル画につかわれるセルのようなものをレイヤード(積み重ねる)するように貼りつけて制作されます。どこか漫画のスクリーントンに通じる部分があるかもしれません。
この一点制作原画も少ないながら流通しており、こちらも高額査定対象となります。
わたせせいぞう等と共に1980年代を象徴するイラストレーターといわれる鈴木英人ですが、新作版画を次々に発表しております。その人気は作家来場の販売会などでは作品が完売するほどで今もなおトップを走り続けています。
独特の進化を遂げる日本のイラスト文化の人気と評価は、年々高まりを見せるばかりです。もう一つの注目の市場、イラストレーターの世界。世界的評価を受ける日も近いかもしれませんよ!?