作家・作品紹介

清麗な舞妓の美を描いた三輪良平

日本を代表する観光地「京都」。久しぶりに旅行に訪れた先では新型コロナウイルスの制限も解除され、国内の観光客だけでなく外国人観光客でも大変賑わっていました。

特に祇園の花見小路は舞妓さんを一目見たい外国人観光客で溢れかえっておりました。私も運よく街中で舞妓さんに遭遇しましたが、その美しい佇まいに暫く見惚れてしまいました。日本人の私でさえこんなに感動するのだから外国の方からすれば「舞妓さんを見てみたい」と思う気持ちはより大きいのかもしれません。

日本画家に愛されてきた舞妓

清麗な舞妓の美を描いた三輪良平

国内では明治5年に始まった舞妓の演舞「都をどり」をきっかけに、舞妓が全国に知られるようになり、黒田清輝竹内栖鳳が舞妓を描いた作品を発表し、大正期から現在にかけて盛んに多くの画家に描かれるようになります。
色とりどりの、華やかな衣装とともに描き出される舞妓の姿は、富士や花鳥図と共に日本画における主な画題のひとつとして多くの画家に描かれています。
今回はそんな日本の美、舞妓や大原女等を題材とし清麗な女性美を描いた三輪良平をご紹介します。

京都市東山区の表具師の次男として生まれた三輪良平は、京都市立美術専門学校(現京都市立芸大)を卒業後は山口華楊に師事。同じく京都生まれで、山口華楊が主宰する晨鳥社に入塾した中路融人らの若手と共に研究会「あすなろ」を結成し研鑽をつみました。
日展の会員となった後は日展評議員もつとめ、1993年には京都府文化賞功労賞を受賞。京都において日本画の発展に寄与しました。

 

清麗な舞妓の美を描いた三輪良平

女性美を現代的な感覚で描き出す

三輪の作品からは本来の舞妓の特徴がよくわかります。
昔、舞妓として活躍していたのは、10~13歳くらいの子どもでした。そのため舞妓の着物は可愛らしさを強調するような柄や色彩のもので、舞妓の成長に合わせて着物を縫い直すことができるように、肩上げと袖上げがしてあります。現在では中学校卒業後でないと舞妓になれないため、着物を縫い直す必要はないのですが、肩上げと袖上げは名残として形だけが残っています。
化粧は白塗りで口紅は舞妓になったばかりの間は、下唇だけにいれます。髪型は赤い鹿の子が前後からのぞく「割れしのぶ」から始まり、2年ほどすると結んだ布が後ろ側からだけ見える「おふく」となり、いずれも、髪に四季の花などをあしらった、華やかで可憐な花簪でかざられています。
舞妓の姿はすべてに可愛らしさ、可憐さを演出する伝統の美があふれています。
その作品は一人舞妓より二人舞妓の人気の方が高く、女性美を現代的な感覚で描き出した作品が人気です。

三輪は京都で毎年春に開催される舞踊公演「都をどり」のポスターを何度か描いています。石本正や堀泰明など多くの有名な画家たちもポスターを手掛けていますが、私は三輪の可憐な舞妓になぜか惹かれてします。

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