2021.04.27
歴史と伝統が織りなす未来
今回はロイヤルコペンハーゲンの不朽の名作「フローラダニカ」について紹介させていただきます。
世界一豪華なディナーセット
フローラダニカは、1790年頃デンマークと密接な関係にあったロシアの女帝エカテリーナ2世への贈り物として製作が開始されました。デンマークの植物図鑑「フローラダニカ」を参考にし、豊富な色使いのできる上絵付技法によって1点ずつ手で描かれています。フローラダニカは1つの作品を、2人のペインターによって作り上げられているため、ペインターサインが2つ記載されています。1人が花のモチーフを、もう1人がゴールドを描きます。アイテムがいくつものパーツに分かれると、それにかかるペインターの人数は増えます。たとえばスープチューリンなどであれば蓋・本体・スープスタンドにペインターと箔置き師の各2名ずつが携わるため合計6人での作業となります。このようにして素晴らしい芸術作品が生み出されているのです。エカテリーナ2世の死によって中断されるまでの12年間に1802点もの作品を描きました。それらオリジナルの作品は現在も国宝として保管されています。現在も同じ植物図鑑を手本に、1点ずつ職人が最高の技法で描き続けています。
「フローラダニカ」230周年記念
昨年フローラダニカ230周年を記念し、香川県の伝統工芸「香川漆芸」と共同制作した「望(のぞみ)」が販売されました。素朴な野の花を描きつつ贅を尽くしたフローラダニカと、香川漆芸の繊細で華やかな装飾技術のコラボレーション。世代を超えて受け継がれる名品としてふさわしい、職人技が光る作品となっています。茶櫃と小箪笥それぞれ蓋の裏に蒔絵と、香川漆芸三技法が施されています。蒔絵は上から漆が施されおり、経年変化により徐々に透明度が増し、10年ほどでより強い輝きを放つと言われています。「望(のぞみ)」という名の通り、コロナ禍の今こそ少しでも生活に彩りを加え、一日でも早く終息し平穏な日常生活を過ごせるよう願いたいものです。