2019.09.03
孤高の画家 高島野十郎
現代アートにおいてたくさんの写実画家がいるなか、生涯写実を追求した高島野十郎(たかしま やじゅうろう)をご紹介いたします。
高島野十郎 略歴
1890年8月6日に福岡県御井郡合川村足穂(現久留米市)に生まれ、85歳没。
本名彌壽(やじゅ)、字は光雄。終生家族を持たず、孤高の人生を送りました。生前は、あまり広く知られていなかった画家です。
高校卒業後は、東京帝大農学部水産学科に進学し、四期生時に初めての個展を開きました。
その後昭和5年からアメリカ経由で渡欧し各地を写生旅行します。昭和8年に帰国した後は生家に戻るも間もなく上京し、晩年は千葉県柏市に幽居。
高島の描く写実的な静物画
主に風景画、静物画をメインとした作品が多い中、高島といえば・・・という代表的な静物画の2作品をご紹介させていただきます。
こちらは、のちのち高島の画業の中心となった静物画の代表作です。
描かれるのはリンゴやブドウや桃などの果実類、あるいは、菊やバラの花類。
この野十郎の静物画の特徴は、部屋の様子を一切描いていない点です。
果物、花の細かさ、テーブルの食卓に敷かれたしわなど、野十郎にしか出せない味があります。
そして、どの作品をみても立体感があり、緻密に表現されています。
光と影が作る色彩の構成によって強い印象を与えると感じます。
もう一つの作品ですが、若い時代から晩年まで描き続けた蝋燭の作品です。
基本は全てサムホールの大きさといわれております。
なぜこの蝋燭を描き続けたのかその理由も不明のまま生涯を終えてしまいました。
もうひとつ、蝋燭の作品は個展で出品されることはなかったそうです。
主に作品を所蔵されている方は、野十郎と親交があり、お世話になられた方で、野十郎から送られたものだそうです。
たしかに個展で出品がないので理解できますね・・・。
どの作品をみても蝋燭が尽きることなく、永遠に光を放ち続ける野十郎画伯に圧倒されます。
まだまだ、多くの作品をみていませんが、野十郎の生涯についてもっと勉強していきたいと思います。