作家・作品紹介

原色の使い手といえば「林武」

原色の使い手といえば「林武」

林武とは

1896年、現在の東京都に6人兄弟の末っ子として生まれました。大正時代後期から洋画家として活動を行い、『美に生き — 私の体験的絵画論』『美に生きる — 私の体験的絵画論』『国語の建設』など著書も多く出している著名な画家です。林武は、小学校時代に担任から画才を認められ、絵の道に進むようになりました。原色を多用し、盛り上がりのある作風が特徴的です。特に「花」をモチーフとした絵画は、林武の作品として多く知られています。


原色の使い手といえば「林武」

凄まじい集中力

林武の作風の特長は、先に述べた通り、原色をうまく使って、対象物を色彩豊かに表現するところにあります。林武は一度集中すると、制作にのめり込み、3日徹夜しても書き続けるといったこともあったそうです。対象物を描くことに対して、何を描き、何を捨てるか、「取捨選択」を最高の集中状態で行っていたからこそ、今もなお愛される作品が多く生まれているのでしょう。人物をモデルとした作品も多く発表されていますが、そういった林武の特性から、モデルが姿勢を保っていられなくなったことも度々あったようです(笑)


原色の使い手といえば「林武」

西洋絵画の影響を受けた晩年の作品集

晩年に多く描かれた「富士山」や「薔薇」など、戦後に描かれた林武の作風は大きく日本の絵画史に影響を与えました。そして、これらの作品からは、西洋絵画における、アンリ・マティスの作品で有名なフォヴィスムや、パブロ・ピカソの作品で有名なキュビスムの影響を、垣間見ることができます。おそらく1934年の渡欧経験が、彼自身の作風に強い影響を与えたのでしょう。
林武は、1964年から「富士山」を、その翌年からは「薔薇」をモチーフとした作品を、多く描き始めるようになりました。1967年には「赤富士」を制作し、文化勲章を受賞しています。赤や青、黒に白と、原色を多用した強い筆致は、重厚な印象を見る人に与えることでしょう。皆さまもぜひ、林武による、力強く激しい作品集を、ご覧になってみてはいかがでしょうか?

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