2023.11.07
ワイズバッシュ 時間のながれを躍動的に描く
現代具象画壇のなか、ヨーロッパの正統派と言われ、動きや躍動感、そこに流れている音までも表現した画家クロード・ワイズバッシュを紹介します。
1927年フランスのティオンビルに生まれたワイズバッシュは、ナンシー美術学校に学び、様々な版画技法を習得します。ワイズバッシュのその高度な構成力と表現力は、ときにロートレックやドガとも並び称され、卒業後20代という若さでサン・エティエンヌ美術学校で教授として迎え入れられ、晩年まで教壇にたちました。元々は版画家という立ち位置でしたが、それを支えるデッサンや油彩画はとても力強く、魅力に溢れています。
どんな音が聞こえてきますか?
初期から定評のある音楽をテーマにした作品は、まるで音が聞こえてくるような躍動感を感じます。作家自身、モーツアルトやヴィヴァルディなどを愛し、演奏している姿を情熱的に捉え、見るものを惹きつけます。そんなワイズバッシュ作品の特徴は、一貫してセピア色を基調にしており、他の色が入らないことでアンティークな雰囲気を醸し出しています。またコントラストの強弱をはっきり描く事により動きが生まれ、ワイズバッシュの卓越したデッサン力の高さを感じます。
世界の名だたる美術館に収蔵
現在、彼のコレクションはパリ国立近代美術館をはじめ、ニューヨーク近代美術館、ブリュッセルの王立アカデミー等に収蔵されています。日本1970年に初来日し、ベートーヴェンを題材に東京と大阪で個展を開いています。これ以降も何度か来日し個展を開くなど、日本でもゆかりのある作家となりました。またホテルニューオータニ大阪ではバンケット・ホールを飾る大作を手掛けるなど幅広く活動しました。
惜しくも2014年に87歳で生涯を閉じましたが、コレクションは世界各地の美術館に所蔵され(日本では山形美術館に作品が収蔵)、現在でも多くのファンに親しまれています。