2024.05.28
ポップアート創世記の一人 ジム・ダイン
ポップアートとは…
ポップアートとは、1950年代半ばのイギリスで起こり、1960年代アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタインの登場で世界に影響を与えた、現代アートの一つです。大量生産・大量消費の社会をテーマにしています。現代人は誰もが大量生産品の製品に囲まれ、それらを簡単に浪費し、テレビや雑誌でその広告にさらされる生活をすごしています。こういった生活様式を批判的に、または、自分たちを取り巻く大量生産・大量消費社会の景色を、現代における「風景」として捉え新しい「風景図」とし発表される等しました。
今回はアンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタインと共にポップアートの画家として評価される画家の一人、ジム・ダインをご紹介いたします。
ポップアートのパイオニア
1935年オハイオ州生まれのジム・ダインは、1958年でニューヨークにて「ハプニング」(市街地などでパフォーマンスアートや演劇をするなどストリートパフォーマンス)活動を初め、その二年後の1960年に音楽家ジョン・ケージも連携し、「微笑む労働者」を上演、当時流行していた表現方法であった伝統的な芸術や美学の根本を否定する作品とポップアートの中間を表現している作品として多くの称賛を浴びました。
思い入れのあるアイテムを作品に
ほとんどのポップアート作家は、冒頭でも触れました大量生産・大量消費の社会をテーマに無機質な日用品の作品を制作する事が多いですが、ジム・ダインが表現するポップアート作品はひと味違います。祖父の代から経営している金物店で幼少期から思い入れのある「工具」などの道具をモチーフに描くようになり、日常生活で自身の思い入れがあるアイテムをポップアート作品として制作するようになり、その作品群はどこか温かみのある雰囲気です。その頃の代表作は当時、美術舞台で用いた「ハート」を作品に何度も取り入れて主要なモチーフとして描かれている事が多く、古来より愛の象徴とされる「ハート」に溢れ出る愛の感情全てを注ぎました。また「バスローブ」の作品を制作することも多く、こちらは新しい自分自身の表現の仕方として、顔や身体を描く代わりに自分自身を「バスローブ」に表して描いています。
近年の活動
近年の活動では、ディズニー作品の「ピノキオ」を題材に多くの作品を制作しており、2008年にはスウェーデンで新作と発表された9mの歩くブロンズ製のピノキオは大変注目を浴びました。
日本では東京都現代美術館、愛知県美術館などの美術館の他、パブリックアートとして丸の内ストリートギャラリーにて作品を見ることができます。
https://www.marunouchi.com/lp/street_gallery/artist/jim-dine.html
現在、80代を超え、まもなく90歳になるかという現在でも精力的に作品を生み出し続けている彼の現在の「風景」はどのように観えているのかこれからも非常に興味が湧いてきます。