2022.05.31
スーパーフラット -村上隆-
自らの作品制作を行うかたわら、芸術イベント『GEISAI』プロジェクトのチェアマンを務め、アーティスト集団『カイカイ・キキ(Kaikai Kiki)』を主宰し、若手アーティストのプロデュースを行ってきました。
近年ではストリートアーティストのKYNEとのコラボレーション作品を発表するなど、日本の現代アート界を切り開いてきた第一人者である村上隆を紹介していきたいと思います。
村上隆の生い立ち
1962年に生まれ東京都板橋区出身
1986年に二浪して入学した東京藝術大学美術学部日本画科を卒業
1993年に同大学日本画初の博士号を取得
1998年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校美術建築学部客員教授。
2001年にアメリカロサンゼルスで、展覧会『SUPER FLAT』展が開催され全米で話題となる。
同年、アート制作・映像制作や所属アーティストマネージメントなど、企画・運営・販売を手掛ける芸術事業の総合商社「有限会社カイカイキキ」を起業。また、事業部としてアニメーションスタジオ「STUDIO PONCOTAN(スタジオ ポンコタン)」を立ち上げました。
日本画を学びポップアーティストへ
村上隆の歴史を振り返る中で、現在のポップな絵に対して日本画科を卒業していることに驚きがあります。
村上隆は、元々はアニメが好きで高校卒業後にはアニメーターを目指していました。
アニメーションの仕事に就きたいと思っていましたが、挫折し以前から興味のあった日本画を習い始めるとこととなります。そんな彼がなぜ日本画をあきらめたのか。
それは東京藝術大学大学院修士課程の修了制作が、首席とならず次席であったことにあったそうです。このエピソードから、村上隆が完璧を求める人柄のように感じます。
日本アニメポップ的な作風の裏には、村上隆が学んだ日本画の浮世絵や琳派の構成なども強く活かされています。
代表作
アニメ、フィギュアなどいわゆるサブカルチャーであるオタク系の題材を用いた作品も有名で、海外オークションにおいて高額で落札されたこともあります。
有名な作品の中でも代表とされているのは、顔の書いてあるお花の絵です。
このお花の作品は東京芸術大学の受験時にお花を毎日描いていたことから生まれたお花シリーズで、日本人の感性が持つかわいいキャラクター産業を美術の領域に横断させることを表現とし制作されました。
様々な分野で活躍している村上隆は、コラボレーションもたくさんしています。
LOUIS VUITTONとのコラボレーションは2003から2008年の間に5回のコラボレーションをしています。
モノグラムを生かしたマルチカラーやチェリーブロッサム、パンダのデザインを手掛け、アートとハイファッションのコラボレーションの先駆けになりました。
他にも2017年に国民的アニメ、ドラえもんとコラボし、村上隆のお花が背景にあり非常に印象に残る作品です。
原作シーンを切り取り、シルクスクリーンの技法で描かれたこのシリーズには多くのファンがいます。
そして、なんといってもオリジナルキャラクターの「DOB君」も有名な作品です。
可愛らしさと不気味さをキャラクター化した、人気のキャラクターです。
727という作品では村上隆が長年研究してきた伝統日本画の三幅形式で描かれていて、わざとサンドペーパーを古く見せているインパクトのある作品です。
アートとビジネスの融合
こちらは村上隆の名言で紹介されている一文です。
『私は芸術を生業とすることに誇りを感じており、後ろめたさ等、万分の一もなく、そしてその「マネー」=「金」こそが人間が超人として乗り越えるべき時にでも、へばりつく最後の業でもある、だから、故に、この業を克服していく方法こそが真の、現代において練り上げられるべき「芸術」の本体であると思っているのです。』
自身に批判的なツイートを公式リツイートすることで、炎上商法・炎上マーケティングを行っていると、ツイッター上で公言しています。
また、海外で評価されて、逆輸入の形で日本での活躍を狙うといった、今までにはない新しい試みも行いました。
アートとビジネスを直結させた村上らしい考えであり、多くの人を惹きつける村上隆ならではの魅力の一つだと思います。