2022.10.04
アイズピリ 気持ちを明るくしてくれる作家
コロナ、ロシアによるウクライナ侵攻など暗い話題が多い昨今、気持ちをパッと明るくさせてくれる1人の作家がいます。今回はポール・アイズピリをご紹介させて頂きます。
夢を追って、画家の道へ
1919年、パリに生まれたアイズピリは彫刻家だった父の意向により象嵌学校に入学します。しかし、画家になる夢を捨てきれず1936年にパリ国立美術学校に再入学しました。
1943年、24歳の時にパリで初個展を開き華々しくデビューします。
人物や花、風景を自由に軽やかに舞い遊ぶような軽快なタッチで描き、鮮やかな色彩で夢のような世界を作り出していきました。
「かたちあるもの」を色彩豊かに
アイズピリが生まれた時代は、それまでの「姿あるもの」を描く「具象」から、「具体的なものの姿を描き写すことをしない」抽象表現が台頭してきたタイミングになります。
名のある作家が抽象表現を試していく中、アイズピリは「かたちあるもの」を色彩豊かに描く、具象にこだわりました。初期は重厚なタッチで描いていたアイズピリですが、70年代から晩年まで歳を重ねるごとにどんどん軽妙なタッチに変化し、明るく楽しげな作風へと変化していきます。
アイズピリ作品を多く所蔵している美術館
アイズピリの作品はフランスではパリ市立美術館の他、ルーマン美術館、アルビ美術館等、ベルギーやオランダなど世界中の美術館に所蔵されており、日本では、山形美術館、ニューオータニ美術館、なかた美術館等があげられます。
なかでも広島県尾道市にある「なかた美術館」には私も実際に訪れたことがあり、美術館に入ってすぐに展示されている大作に圧倒された記憶があります。美術館の周りの雰囲気が、アイズピリの代表作の一つでもあるサントロペによく似ており、非常に心地の良い美術館です。
お酒を飲むとハンカチを振って歌ったり踊ったりするという陽気な性格だったアイズピリ。
人生を楽しむことや家族を大切にすることをモットーに2016年に96歳で亡くなるまで世界中の人々を魅了し続けました。
是非、皆様も気持ちが暗くなったり、疲弊した時はアイズピリの楽しく、明るい作品に触れてみてはいかがでしょうか。