作家・作品紹介

最も多作な芸術家 ピカソ

ギネス世界記録、これは言わずと知れた『世界一』を記録し収集しています。その中には一般人でも手が届く様な記録もあり、奇妙奇天烈で何の意味があるんだろうと思わずにはいられない記録まで多種多様な記録が存在しています。

さて、ここで1つ問題です。生涯で最も多くの作品を制作した芸術家としてギネスに記録されている画家は誰でしょうか?———という訳で、今回は上の問題の答である『ピカソ』についてお話をさせていただきたいと思います。

ピカソについては、ここでは書き切れない程に活動は多岐・長期に渡り、エピソードも沢山ございます。ですので、今回は芸術論の様な事を書き綴るのではなく、ピカソを少しでも身近に感じられる様にお話をしていきたいと思います。

最も多作な芸術家 ピカソ

一つ目の、ピカソのここが凄い!

これは冒頭でも話した通り生涯に制作した作品がギネスで認定されている程に膨大という事です。
素描、油絵、版画、彫刻や陶器を計14万7800点程も制作しました。多過ぎて想像がつきませんよね?ピカソは8歳頃から絵を描き始めたと言われており、92歳で亡くなりました。
ですので、ザっと計算すると平均して1年間に1760点程の作品を作り出した事になります。0歳から100歳まで毎日1点の作品を制作しても3万6500点なので、これは驚異的な数字で当分破られる事は無いと言われています。

二つ目は、こちらは比較的有名ですが…名前がとんでもなく長い事です。
出生証明書によれば、彼の本名はパブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・チプリアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・ピカソとなっています。ただ、ピカソ自身も自分の本名を言えなかったそうです。あまりに長いので覚える気が無かったとも言われているそうですが、キリスト教徒において聖人の名前を盛り込む事はありがたい事で祝福になるとはいえ流石に長いので無理もありませんよね。


最も多作な芸術家 ピカソ

三つ目は、生前に最も成功して稼いだ画家であるという事です。ゴッホ等を初めとして、死後に評価を受ける芸術家は多く存在します。しかし、ピカソは若い頃から成功を収め、100歳近くまで精力的に作品を創り続け、ピカソ以上に存命中に稼いだ芸術家はいないと称される程の富と名声を手に入れました。

四つ目に、ピカソの最も凄い点をご紹介します。それは、比類なき情熱と自信です。
ピカソの作品は、同一人物とは思えない程に年代によって作風や受ける印象がまったく違います。特に晩年は、裸の女性をモチーフにした局部も露な作品を多数制作しており、「時代遅れの芸術家の狂った落書き」だの「頭がおかしい老人」等とこき下ろされたそうです。

しかし、当のピカソは「この歳になって、やっと子供らしい絵が描けるようになった。」と非常に満足していたそうです。また、ピカソは「明日描く絵が一番素晴らしい。」という言葉も残しており、変化を恐れずに日々成長しながら自分の描きたいものを描いていたそうです。
純粋無垢な程の芸術に対する情熱、そして明日はもっと成長できるという自分に対する自信
が窺える言葉だと思います。


最後に、ご存じの方も多いでしょう有名なエピソードをご紹介します。

ある日、ピカソはファンの女性に呼び止められ絵を描いて欲しいと求められました。数十秒で紙に描いた絵を渡したピカソは、「この絵の値段は100万ドルです」と告げたそうです。それに対して女性は驚き、「この絵を描くのに“たったの”30秒しかかかっていないじゃありませんか!?」と。
しかし、ピカソは「いいえ、30年と30秒ですよ」と微笑みながら答えたそうです。

———捉え方次第では、高名な芸術家の自信過剰の表れや傲慢さとも取られかねない言葉でしょう。
しかし同時に、アートの価値というものを非常に的確かつ深く表す言葉でありエピソードであると私は思います。ピカソは、この小さな紙に絵を描くまでの間に何十年も研鑽を重ねてきたのです。創作という行為は、他人が軽々に評価できるものではないという一面を考えさせられますね。
美術に限らず、広義的にクリエイターと呼ばれる全ての方々にも当てはまる事だと思います。

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