作家・作品紹介

【現代アートの巨匠】ヤノベケンジとは? 代表作《トらやん》《サン・チャイルド》《SHIP’S CAT》で描く未来

現代美術家・ヤノベケンジの代表作《ジャイアント・トらやん》《サン・チャイルド》《SHIP’S CAT》を通して、未来への視線と社会への批評性を読み解きます。大阪万博や銀座SIX展示との関係も紹介。


【現代アートの巨匠】ヤノベケンジとは? 代表作《トらやん》《サン・チャイルド》《SHIP’S CAT》で描く未来

ヤノベケンジとは?現代アートで未来を問うアーティストの軌跡

ヤノベケンジ氏は1965年、大阪府生まれの現代美術家。大型機械彫刻やインスタレーションを通じて、社会や文化への鋭い批評を行ってきました。作品のテーマは「未来」「環境」「サバイバル」。そのビジュアルは親しみやすくも、作品の奥には強いメッセージが込められています。創作の原体験は、幼少期に訪れた大阪万博跡地で見た「未来の廃墟」。かつて輝かしかった未来都市の残骸が、強烈なインスピレーションとなり、以後の作品世界の核となっています。


ヤノベケンジの作風とは?ポップ×社会批評の融合

ヤノベ氏の作品は、一見するとポップでユーモラスなデザインが特徴ですが、実は「核」「災害」「環境破壊」など、重く深刻なテーマを孕んでいます。メカニカルなスーツを着たキャラクターやロボットたちは、「この世界がもし壊れたら?」という未来への問いかけ。彼は岡本太郎の影響も大きく受けており、芸術を社会と接続するツールとして活用。建築、演劇、音楽など異ジャンルのクリエイターとも積極的にコラボレーションを行い、現代アートを多角的に展開しています。


【現代アートの巨匠】ヤノベケンジとは? 代表作《トらやん》《サン・チャイルド》《SHIP’S CAT》で描く未来

《ジャイアント・トらやん》とは?子どもの夢を形にした巨大アート作品

2005年に制作された《ジャイアント・トらやん》は、全長7.2メートルのロボット型彫刻。「子どもの夢の最終兵器」とも称され、ちょび髭とバーコード状の髪型が特徴のキャラクター「トらやん」がモデルです。
この作品は、金沢21世紀美術館の「子供都市計画」の一環として誕生。市民や学生と共に、子どものための未来都市をつくるプロジェクトとして展開されました。首や腰が回転し、手を振って踊る、さらには子どもの声に反応して火を噴くなど、インタラクティブな演出も特徴。ヤノベ氏は「子どもたちにとっての守護神のような存在」と語っています。


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《サン・チャイルド》:震災後の希望を象徴する現代アート

2011年の東日本大震災を受けて制作された《サン・チャイルド》は、高さ6.2メートル。防護服を着た子どもがヘルメットを脱ぎ、笑顔を浮かべているという構図で、被災後のサバイバルと希望を象徴しています。しかしこの作品は、福島市での設置をめぐり賛否を呼びました。「放射能の象徴として不安をあおる」といった声もあり、最終的には撤去される事態に。この件を通じて、公共空間における現代アートのあり方が改めて問われました。


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宇宙猫《SHIP’S CAT》とは?旅人を見守る未来の守護神アート

《SHIP’S CAT》シリーズは、宇宙服を着た猫の姿をした作品群。旅人の安全や出会いを見守る「守護神」として構想されました。この作品の発端は、福岡・博多のホステル「We Base」からの依頼。博多が日本最古の港町であることにちなんで、船乗りとともに旅をする猫をモチーフにしています。ヤノベ氏は「この暗い世界の中で、人々を幸福に導く存在になってほしい」と語り、温かくもユニークな希望の象徴として展開。現在、《SHIP’S CAT》は大阪中之島美術館前、京都芸術大学駅ホームなどにも設置され、訪れる人々の心を和ませています。


【現代アートの巨匠】ヤノベケンジとは? 代表作《トらやん》《サン・チャイルド》《SHIP’S CAT》で描く未来

銀座SIXでの「BIG CAT BANG」展:宇宙猫の大爆発

2024年4月から開催された銀座SIXでの展覧会「BIG CAT BANG」では、約400体の《SHIP’S CAT》が吹き抜け空間に展示されました。テーマは「宇宙のダイナミズムと生命の誕生」。岡本太郎記念館とのコラボレーションで実現した本展示で、ヤノベ氏は「岡本太郎が想像力のリミッターを外してくれた」と語り、その影響の大きさを再確認させました。


【現代アートの巨匠】ヤノベケンジとは? 代表作《トらやん》《サン・チャイルド》《SHIP’S CAT》で描く未来

大阪万博との関係性:ヤノベケンジの万博への想いと影響

ヤノベ氏は1970年の大阪万博に深い影響を受けたことを公言しており、特に岡本太郎の《太陽の塔》に感銘を受けたと語っています。万博の「未来志向」「テクノロジーと文化の融合」は彼の作品に色濃く反映されており、2025年の大阪・関西万博に向けても、新作の発表が期待されています。


ヤノベケンジ作品が語りかけるもの

ユーモアと批評性、未来への視線と過去への問い直し——ヤノベケンジのアートは、一見すると親しみやすいビジュアルでありながら、現代社会に鋭いメッセージを放ちます。巨大な猫やメカニカルな子どもに出会ったとき、それがヤノベケンジの作品かもしれません。彼のアートは、現実のすぐ隣で静かに、未来への問いを語りかけてくるのです。

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