千住博作品を高く売るには?作品の魅力と買取のポイントを徹底解説

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はじめに

皆さん、現代日本画の巨匠、千住博をご存知でしょうか。千住博の作品は水のような流動的な色彩と独特の技法で知られています。今回は、千住博の経歴と作品の魅力をご紹介します。作品の買取に関する情報もありますので、千住博の作品に興味のある方、買取の依頼を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。

千住博とは?

千住博は、3人兄弟の長男として芸術一家に育ちました。弟は作曲家の千住明、妹はバイオリニストの千住真理子です。東京藝術大学で学んだ後、ニューヨークに渡り、現在もニューヨークを拠点に活動を続けています。

千住の作品は、日本の伝統的な絵画技法と現代的な感性を融合させた独特のスタイルで知られており、特に、水や滝(瀧)をモチーフにした作品群は、世界中のアート愛好家を魅了し続けています。

千住博の作風

千住の作品は、日本の伝統的な画材と技法を用いながら、現代的な感性で独自の表現を追求していることが特徴です。特に水や滝(瀧)をモチーフにした作品が多く、独自の「たらしこみ」技法を駆使して、自然の動きを鮮やかに表現しています。また、千住の作品には大型のものもあり、そのスケール感も印象的な特徴の一つとなっているんです。

ウォーターフォールⅦ
ウォーターフォールⅦ

主な受賞歴等

千住博の芸術は国内外で高く評価され、数々の栄誉ある賞を受賞しています。主な受賞歴には以下のものがあります。

  • 2022年 日本芸術院会員に任命
  • 2021年 日本藝術院より令和二年度(第77回)恩賜賞および日本藝術院賞授与
  • 2021年 紺綬褒章飾版と木杯受章
  • 2018年 日米特別功労賞受賞(ニューヨーク商工会議所)
  • 2018年 優秀芸術賞受賞(フィラデルフィア日米協会)
  • 2017年 第4回イサム・ノグチ賞受賞
  • 2016年 平成28年度外務大臣表彰受賞
  • 2002年 第13回MOA美術館 岡田茂吉賞絵画部門 大賞受賞
  • 2000年 河北倫明賞受賞
  • 1998年 紺綬褒章受章
  • 1995年 第46回ヴェネチアビエンナーレにて名誉賞受賞(絵画作品としては東洋人として史上初)
  • 1994年 第4回けんぶち絵本大賞受賞

これらの受賞歴は、千住博の芸術が国内外で高く評価され、日本画の枠を超えて国際的にも認められていることを示しています。特にヴェネチアビエンナーレでの受賞は、彼の芸術の国際的な評価を象徴する出来事といえるでしょう。また、日本芸術院会員への任命や日本藝術院賞の受賞は、日本の芸術界における最高峰の評価といえます。

千住博の作品の魅力や特徴

独自の技法:岩絵具と「たらしこみ」

千住作品の大きな特徴は、岩絵具の使用による独自の『たらしこみ』技法にあります。岩絵具とは天然の鉱物を砕いて粉にした顔料で、日本画の伝統的な画材です。『たらしこみ』技法とは、画面に水を流し、そこに絵具を垂らして自然な流れを作り出すもので、千住はこの技法を独自に発展させています。

この独自の『たらしこみ』技法により、水の流れのような有機的な線や面が生まれ、観る者を魅了する幻想的な世界を作り出しているのです。

代表作シリーズとその特徴

「ウォーターフォール(滝)」シリーズ

ウォーターフォール(ロイヤルコペンハーゲン)
ウォーターフォール(ロイヤルコペンハーゲン)

千住の代表作と言えば、やはり「ウォーターフォール(滝)」シリーズです。このシリーズでは、「たらしこみ」技法を駆使し、水の動きと力強さを見事に捉え、滝の水しぶきや流れを、鮮やかな色彩と大胆な構図で表現しています。

「ウォーターフォール」シリーズの特徴は、その圧倒的なスケール感と躍動感にあります。大きなキャンバスいっぱいに広がる滝の姿は、観る者を水の世界に引き込みます。また、青や緑、時には赤や紫といった鮮やかな色彩も、このシリーズの魅力のひとつです。

「フォーリングカラー」と「タイドウォーター」

フォーリングカラー(ORANGE)
フォーリングカラー(ORANGE)
タイドウォーターⅠ
タイドウォーターⅠ

「フォーリングカラー」シリーズは、「ウォーターフォール」シリーズの発展形とも言えるもので、より抽象的な表現が特徴です。色彩の流れそのものを主題とし、水の動きをより自由に解釈しています。

一方、「タイドウォーター」シリーズでは、海の潮の動きをテーマにしています。このシリーズでは、水平方向の動きが強調され、海の広がりや波の律動を感じさせる作品が多く見られます。

千住博の新たな表現:メタルフォール

Metalfall#3-1
Metalfall#3-1

千住の作品世界には、日本画以外にも注目を集めているシリーズがあります。それが「メタルフォール」と呼ばれる版画作品群です。このシリーズは、千住の代表的なモチーフである「ウォーターフォール(滝)」をベースにしていますが、ユニークな制作方法を用いています。

メタルフォールの特徴は、紙ではないステンレスを用いるところににあります。ステンレスに銅版画技法を用いて制作することで、独特な雰囲気をまとっており、斬新な版画表現が実現されています。

千住の「ウォーターフォール」と「メタルフォール」、この二つのシリーズを分けるのは主に制作方法の違いです。メタルフォールは、その名の通り金属を使っていて、ステンレスや銅の板に特殊な版画技法を施して作られています。エッチングやアクアチントといった技法を駆使して、版画として仕上げられています。

水の表現方法も両シリーズで異なります。日本画のウォーターフォールでは、画面の上から下へ天然の岩絵具を重力で落とし流す技法が用いられ、滝の飛沫はエアスプレーガンで表現されています。

このように、メタルフォールシリーズは、千住の代表的なモチーフである滝を、新たな素材と技法で表現した意欲的な作品群と言えるでしょう。

その他の人気作品

飛鳥懐風法起寺
飛鳥懐風法起寺
朝風
朝風

千住博の魅力は、水をテーマにした作品だけにとどまりません。日本の伝統的な風景をモチーフにした作品も人気です。例えば、奈良の塔や鹿を描いた作品では、霞がかかったような柔らかな色彩で古都の雰囲気を幻想的に表現しています。さらに、桜や大イチョウといった日本の四季を題材にした作品も見逃せません。これらの作品では、花びらの繊細さや鮮やかさを独自の視点で描き出しています。千住の筆によって、日本の風景が新たな魅力を帯びて蘇るような感覚さえ覚えるほどです。

千住博作品の買取相場・実績

※買取相場価格は当社のこれまでの買取実績、および、市場相場を加味したご参考額です。実際の査定価格は作品の状態、相場等により変動いたします。

夜半一隈

夜半一隈
買取実績価格:300~400万円

Waterfall(Day fall/Night fall)

Waterfall(Day fall/Night fall)
買取実績価格:85万円

光の域

光の域
買取実績価格:16.5万円

千住博の作品を高値で売却するポイント

日本画(額)作品

状態を良好に保つ為の保管方法

日本画は主に紙や絹に岩絵具で描かれており、湿気やカビにとても弱いです。また直射日光などは酸化の原因になり、劣化します。直射日光を避け、涼しい場所に飾りましょう。また箱にしまったままも湿気やすい為、最低でも年に2回は風を通すようにしましょう。

修復方法

日本画修復の専門店にお願いすることが1番です。下手に自身で手を入れると、返って悪化するケースもあります。

共シール

「共(とも)シール」とはいわば、日本画に付帯する作品証明のような物です。多くは表題(絵のタイトル)と作家名が、作家自身の直筆で書かれており、絵画の裏面に貼ってあります。共シールの有無により評価が変わる場合があるので、ご所有の作品にあるか確認してみてください。

掛軸作品

状態を良好に保つ為の保管方法

掛軸は主に紙や絹に岩絵具で描かれており、湿気やカビにとても弱いです。また直射日光などは酸化の原因になり、劣化します。直射日光を避け、涼しい場所に飾りましょう。また箱にしまったままも湿気やすい為、最低でも年に2回は風を通すようにしましょう。

共箱(ともばこ)

掛軸を収納する箱の事で、蓋の表に表題(作品タイトル)、蓋の内側に作家のサインが作家自身の直筆で記載されてあります。共箱は掛軸の証明書の役割をしており、無い場合は査定額に響いてきます。

書付、識箱・極箱

共箱の分類に書付(かきつけ)と識箱(しきばこ)・極箱(きわめばこ)があります。

書付とは茶道具を中心に各家元が優れた作品に対して銘や家元名を共箱に記します。

識箱・極箱は、作者没後、真贋を証明する為、鑑定の有識者や親族が間違いがないと認定した物に共箱の面や裏に記します。

水彩・デッサン作品

状態良好、保管方法

主に紙に描かれていることの多い水彩やデッサンは、モチーフに対して紙の余白がある反面、しみや日焼けが目立つ事があります。

版画作品

版画には有名画家が直接携わり監修した作品も多くあります。主に版画作品下部に作家直筆サインとエディション(何部発行した何番目の作品であるか)が記載されています。主に紙に刷られており、湿気や乾燥に弱いです。また直射日光が長期間当たると色飛びの原因になります。掛ける場所・保管場所には十分注意しましょう。

千住博についての補足情報

芸術家としての影響力

千住の芸術的影響力は、彼の作品だけにとどまりません。多くの若手芸術家が千住のもとで学び、その影響を受けて独自の表現を追求しています。特筆すべきは、釘町彰や中村貴弥といった有名作家も千住の弟子として知られていることです。

伝統と現代の融合:大徳寺聚光院の襖絵

大徳寺聚光院の襖絵

出典:【京都市公式】京都観光Navi

千住の芸術性は、現代アートだけでなく日本の伝統美術の世界でも高く評価されています。その代表例が、京都の大徳寺聚光院に奉納された襖絵「滝」です。

この作品では、千住の代表的なモチーフである滝を伝統的な襖絵として表現しています。寺院という伝統的な空間に、千住の現代的な表現を取り入れたこの襖絵。まさに伝統と革新の融合と言えるでしょう。

まとめ

千住博は、日本画の伝統を踏まえつつ、独自の表現方法で現代美術の最前線を走り続けている芸術家です。「たらしこみ」技法を駆使した水のシリーズや、日本の伝統美を現代的に解釈した作品群は、国内外で高い評価を受けています。

千住博の作品をお持ちの方、あるいは購入を検討されている方は、ぜひ専門家による適切な査定を受けることをおすすめします。作品の状態、制作年、サイズ、テーマなど、様々な要因が価格に影響を与えます。信頼できる専門家のアドバイスを得ることで、作品の真の価値を知ることができるでしょう。

千住博の芸術を、少し身近に感じていただけたでしょうか。彼の作品は、観る者を幻想的な水の世界へと誘い、日本の伝統美を現代的に解釈する独特の魅力を持っています。

千住博作品の売却に関するご相談は、専門家にお任せください。経験豊富なスタッフが、作品の査定から売却までを丁寧にサポートいたします。まずは、お気軽にお問い合わせください。

千住博の作品の買取をご検討される際はこちらをご覧下さい。

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