ルネ・ラリックとは?作品の特徴と買取相場|美術品買取のプロが解説

はじめに

19世紀から20世紀半ばにかけて活躍したガラス工芸の巨匠、ルネ・ラリック。彼が創設したラリックブランドは、130年以上の歴史を持つフランスの名門として知られています。

食器類から花瓶、照明まで、独創的な意匠が際立つ生活用品を数多く手がけ、その作品は現在でも高い芸術性と価値を持ち続け、買取市場でも人気を集めています。

本記事では、ルネ・ラリックの生涯から作品の特徴、そして作品価値に関する情報まで、詳しくご紹介いたします。作品をお持ちの方、あるいは関心をお持ちの方は、ぜひ最後までお読みください。

リングトレイ
リングトレイ

ルネ・ラリックとは?

宝飾からガラス工芸へ至る軌跡

ルネ・ラリックは、1860年にフランスのシャンパーニュ地方で生まれました。16歳の時に宝飾職人に弟子入りし、昼間は見習いとして働きながら、夜は装飾美術学校で学びました。

その後、1885年にはパリのヴァンドーム広場に工房を構え、主に女性向けの高級アクセサリーのデザインを手がけるようになります。

カルティエやブシュロンなどの著名な宝石店にも作品を提供し、著名な女優サラ・ベルナールの舞台用装身具やジュエリーの制作も行うなど、パリの演劇界や社交界とも親交を深めていきました。

1900年のパリ万博での成功を機に、アール・ヌーヴォー作家としての地位を確立しましたが、時代の変遷とともに新たな挑戦へと向かいます。

1907年、香水商フランソワ・コティからの依頼をきっかけに香水瓶のデザインを手がけ、これを転機にガラス工芸の世界へと進出していきました。

このように、宝飾からガラス工芸へと活動の幅を広げたラリックは、時代とともにその作風も進化させていきました。

フランス(シャンパーニュ地方)

2つの時代を代表する作風の特徴

ラリックは、アール・ヌーヴォーとアール・デコという2つの時代を代表する芸術家として知られています。宝飾デザイナー時代には、それまでの宝飾界の常識を打ち破る斬新なデザインで注目を集めました。

ガラス工芸家に転向してからは、クリアガラスと曇りガラスを組み合わせた独自の表現技法や、ガラスの持つ乳白色の柔らかい輝きを活かして光の効果を引き出す技法を確立。

1925年のパリにおける現代装飾美術・産業美術国際博覧会では、ラリックのために1つのパビリオンが与えられ、アール・デコを代表するガラス作家としての評価を確立しました。

作品年代の見分け方とサイン

ラリック作品の年代を見分ける重要な手がかりとなるのが、作品に刻まれたサインです。1945年までの作品は『R. Lalique, France』のサインが刻まれ、ルネ・ラリックの没後、1945年以降は『Lalique, France』のサインが用いられるようになりました。

この「R」の一文字の有無が、作品の価値に大きな影響を与えることがあります。

ルネ・ラリックの作品の魅力や特徴

代表的なガラス工芸技法

ラリック作品の最大の特徴は、「フロステッド」と呼ばれる艶消し技法を使った浮き彫りによる装飾です。世界最高水準を誇るこの技法により、光は透過せずに内部で拡散し、やわらかな輝きとなって反射され、独特の陰影を生み出します。深い乳白色のトーンから透明に近い仕上げまで、幅広い表現が可能となっています。

花瓶
花瓶

多岐にわたる作品展開

ラリックの創造性は、ガラス工芸の新たな可能性を切り開きました。1908年にはパリ東方のコーム・ラ・ヴィルにガラス工場を借り、本格的なガラス工芸品の制作をスタート。香水瓶、花瓶、置時計、テーブルウェア、アクセサリーなど、幅広い作品を手がけていきました。

特に香水瓶の分野では、画期的な功績を残しています。それまでの香水瓶は実用的な容器に過ぎませんでしたが、ラリックは香水のコンセプトに合わせた美しいデザインの瓶を提案。これは当時としては斬新な試みであり、現代のブランド戦略やプロダクトデザインの先駆けともいえるものでした。

さらに1920年代から1930年代にかけては、豪華客船「SSノルマンディー」の室内装飾を手がけたほか、シトロエンやシボレーなどの高級車のボンネットを飾るカーマスコットも手がけました。

建築分野でも、東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)の玄関扉やシャンデリアを手がけるなど、その活動は多岐にわたります。芸術性と実用性を両立させた彼の作品は、時代を超えて高い評価を受け続けています。

◆ラリックの公式HPでは現代のラリックを買うことができますが、同じモデルの作品でも当時のオリジナル性の高い作品と比べ、買取価格が異なるのでお問い合わせ下さい。

香水瓶:FOUGERES
香水瓶:FOUGERES

人気シリーズと代表作品

ラリックの作品は、花、樹木、昆虫、動物、女性像などを題材にした多彩なデザインで知られています。特に人気の高いシリーズをご紹介しましょう。

ラリックの代表作といえば、まず香水瓶を挙げることができます。香水商フランソワ・コティからの依頼をきっかけに制作を始めた香水瓶は、たちまち人気を博しました。ニナリッチの「レールデュタン」をはじめ、香水のコンセプトに合わせた独特で魅力的なデザインは、現在も一流メゾンとのコラボレーションとして続いています。

「バコントゥ」は、1928年に生み出されたルネ・ラリックの創造力から生まれた花瓶のシリーズです。若いバッカスの巫女たちの美しさと曲線を表現し、なめらかな質感を表現したサテン加工のクリスタルが、生命と躍動感を吹き込んでいます。

バコントゥ
バコントゥ

出典:Lalique logo

「ランジェ」は、ルネの息子マルクが晩年に作った脚付きグラスのシリーズです。グラスの脚部分には繊細なフロステッド加工が施され、シャンパンフルートやウォーターグラスなど、様々なバリエーションが展開されています。

ランジェ
ランジェ

出典:glass-classic

「ルーヴル」は、ラリック家三代目となるマリー・クロードが1998年に手がけたシリーズです。繊細の優美な曲線と繊細な脚部のデザインが特徴で、脚の部分には古代エジプトの象形文字が彫り込まれています。

ルーヴル
ルーヴル

出典:glass-classic

その他にも、ユロット、イロンデル、トレヴェス、ザネモーヌ、ロクサーヌ、パンテール、アステリア、ユリなど、多彩なシリーズが展開されています。この豊かな製品展開こそが、ラリックの魅力の一つといえるでしょう。

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ルネ・ラリック作品の買取相場・実績

※買取相場価格は当社のこれまでの買取実績、および、市場相場を加味したご参考額です。実際の査定価格は作品の状態、相場等により変動いたします。

バッカスの巫女:BACCHANTES

買取実績価格:150~200万円

花瓶『ARCHERS』

買取実績価格:20~30万円

花瓶 SAINT-MARC

買取実績価格:10~15万円

ルネ・ラリックの作品の査定・買取について、まずはお気軽にご相談ください。

ルネ・ラリックの作品を高値で売却するポイント

来歴や付帯品・保証書

来歴や付帯品:購入先の証明や美術館に貸出、図録に掲載された作品等は鑑定書が付帯していなくても査定できる場合があります。
保証書:購入時に保証書が付帯する作品もあるので大切に保管しましょう。

贋作について

ここ数十年のインターネットや化学技術の向上により、著名作家の贋作が多数出回っています。ネットオークションでは全くの素人を装い、親のコレクションや資産家所蔵品等の名目で出品し、ノークレームノーリターンの条件での出品が見受けられます。

落札者は知識がないがために落札後のトラブルの話をよく聞きます。お手持ちの作品について「真贋が気になる」「どの様に売却をすすめるのがよいか」等、お困りごとがあればご相談のみでも承っております。

西洋アンティーク(ガラス)

状態を良好に保つ為の保管方法

表面に繊細か彫刻が施された作品やシルエットを際立たせる造形的な西洋アンティークのガラスは、数十年に渡り人から人へ大切にされてきました。大変繊細な為、取り扱いはもちろんの事、飾る場所に気を使いましょう。昨今ではミュージアムジェルと言う繰り返し使える作品を固定できるジェルが販売されています。表面についたほこりなどはしっかり持った上で水を含ませた布で優しく拭うように取り除きましょう。

真贋について

西洋アンティークのガラスは世界中にファンがおり、オマージュ作品や贋作も多く流通しています。サインや彫り色味で真贋を見極めますが、専門家でも判定が難しい場合があります。

ルネ・ラリックについての補足情報

国内外の主要コレクション

箱根ラリック美術館
箱根ラリック美術館

出典:Wikipedia

ラリックの作品は、その芸術性の高さから世界中の美術館に所蔵されています。特に香水瓶のコレクションは世界的な評価が高く、美術品級の最高級ラインとして扱われています。

日本では、神奈川県の箱根ラリック美術館で約1,500点にも及ぶコレクションを鑑賞することができます。

代表作の香水瓶「三羽のツバメ」をはじめ、ジュエリー、花器など、約230点が常設展示室で観賞可能です。

また、東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)では、ラリックによる照明玄関のガラスレリーフ扉など、建築装飾としての作品を見ることができます。建物自体もアール・デコ様式の貴重な歴史的建造物として国の重要文化財に指定されています。

これらの美術館では、ラリックの作品の歴史的価値や芸術性を間近で感じることができます。作品の魅力を直接体感できる美術館に、足を運んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

宝飾デザイナーからガラス工芸家へと転身を遂げたルネ・ラリック。アール・ヌーヴォーからアール・デコにわたる時代の中で、独自の技法と美しいデザインで数々の革新的な作品を生み出してきました。その作品は今なお高い評価を受け、世界中のコレクターを魅了し続けています。

ラリック作品は、制作された時期や保存状態、付属品の有無など、様々な要素によってその価値が変わってきます。作品をお持ちの方は、まずは専門家による査定を受けてみてはいかがでしょうか。経験豊富な専門家が、あなたの大切な作品の真の価値を見出すお手伝いをさせていただきます。

当社では、あなたの大切な作品の価値を最大限に引き出すべく、丁寧な査定と適切なアドバイスを提供いたします。ルネ・ラリックの作品の買取をご検討される際は、ぜひお問い合わせください。

また、LINEからの査定依頼も受け付けています。(スマホで写真を撮って送るだけ!)詳しくは【LINE査定ページ】をご覧ください。

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