岡本太郎の芸術と作品価値|独創的表現から買取相場まで詳しく解説

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はじめに

みなさん、「芸術は爆発だ!」という言葉でお馴染みの岡本太郎をご存知ですか?

1970年の大阪万博で「太陽の塔」を手がけ、日本の美術界に新風を吹き込んだ芸術家です。絵画、彫刻、陶芸、壁画など、さまざまな分野で独自の表現を追求し続けた岡本太郎の作品は、現在、美術品市場でも高い評価を得ています。

今回は、岡本太郎の生涯と作品の魅力についてご紹介します。作品の買取に関する情報もありますので、岡本太郎の作品をお持ちの方、買取を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

「芸術は爆発だ」岡本太郎
太陽の塔

岡本太郎とは?

革新的な芸術家としての軌跡

1911年、神奈川県川崎市に生を受けた岡本太郎。父は漫画家の岡本一平、母は歌人で小説家の岡本かの子という芸術一家の長男として育ちます。

幼少期から自立心が強く、感受性豊かだった岡本太郎。小学校になじめず、青南小学校、日新学校、十思小学校と転校を重ねていきました。そんな彼が18歳となった1929年、運命の地フランスへと渡ります。以後1940年までの約10年間、パリで過ごしながら最先端の芸術に触れ合うことになるのです。

パリでの修行時代、転機が訪れます。1932年、ピカソの作品「水差しと果物鉢」との出会いです。この体験をきっかけに「ピカソを超える作品を作る」という強い決意を胸に、本格的な芸術活動への道を歩み始めました。

その才能は瞬く間に認められ、1933年には最年少でヨーロッパの抽象芸術運動を代表する「アプストラクシオン・クレアシオン協会」のメンバーに。カンディンスキーやモンドリアンら錚々たる芸術家たちとの交流を深めていきます。

1940年の帰国後、戦争により一時は創作活動から離れることを余儀なくされます。しかし戦後、精力的に作品を発表。1947年には「新しい芸術は岡本太郎から始まる」という宣言とともに、日本の美術界に新たな風を吹き込んでいったのです。

そして1948年、作家の花田清輝らと共に前衛芸術について論じ合う「夜の会」を結成。より革新的な芸術活動を展開していくことになります。

哄笑
哄笑

独自の芸術観を形成した背景

岡本太郎の芸術観は、パリでの経験と戦争体験によって強く形作られました。特に、パリ大学で民族学を学んだ経験は、後の作品制作に大きな影響を与えています。

民族学博物館「ミュゼ・ド・ロム」との出会いは、芸術の本質について深く考えるきっかけとなり、「芸術は商品ではない」「芸術は無償、無条件であるべきもの」という岡本太郎の芸術観を醸成しました。

時代を超えて評価される理由

「芸術は爆発だ!」の名言

彼は芸術を「爆発的なエネルギー」と捉え、常に枠にとらわれず、自己表現の自由を追求しました。

岡本太郎の作品が現代でも高い評価を受けている理由の一つは、その独創的な表現力にあります。

原色を積極的に使用し、当時の美術界から非難されても、その表現スタイルを貫き通しました。これは、灰色が中心であった侘び寂びの芸術に対する挑戦でもありました。

また、絵画だけでなく、彫刻、陶芸、壁画など、様々な分野で作品を残したマルチな才能も、現代において高く評価されている点です。1970年の大阪万博での「太陽の塔」は、その代表例と言えるでしょう。

愛と平和
愛と平和

岡本太郎の作品の魅力や特徴

太陽の塔

1970年の日本万国博覧会で制作された「太陽の塔」は、岡本太郎の作風を最も象徴する作品です。高さ70メートルの巨大モニュメントは、見る者に圧倒的な存在感を与え、今も大阪万博記念公園に保存されています。

「芸術は爆発だ」岡本太郎
太陽の塔

岡本太郎の代表作であるこの「太陽の塔」は、1970年の大阪万博のシンボルとして製作されました。この巨大な彫刻は、岡本が「人類の未来を象徴する存在」として表現したもので、中央に太陽の顔が描かれ、周囲には生命の起源を表すような様々なモチーフが彫られています。

興味深いエピソードとしては、岡本がこの作品を作成するにあたって、最初はその高さや規模に対して反対意見が多かったことです。しかし、彼は「これくらいの規模でないと意味がない」として、挑戦的な姿勢で制作を続け、結果的に「太陽の塔」は日本の現代美術を象徴する名作となりました。

太陽の塔以外のパブリックアート作品

太陽の塔以外にも、各地にパブリックアートが設置されており、象徴的な存在として街に溶け込み、自由に鑑賞することができます。

岡本太郎 / 未来を視る
茨城県つくば市 万博記念公園駅前広場

岡本太郎 / 若い時計台
東京都中央区銀座5-1-1 数寄屋橋公園内

岡本太郎 / 歓び
東京都新宿区四谷1-7 持田製薬株式会社本社

岡本太郎 / 躍動の門
千葉県浦安市舞浜2−27 浦安市総合運動公園内

岡本太郎 / こどもの樹
東京都渋谷区神宮前5-53-1 こどもの城

明日の神話

もう一つの重要な作品が、渋谷駅の連絡通路内に設置されている巨大壁画「明日の神話」です。1969年にメキシコで完成したこの作品は、その後30年以上にわたって所在が分からない状態が続きましたが、2003年、実質的な妻である岡本敏子の尽力により、再び注目を集めることとなりました。現在はこの作品を渋谷駅の連絡通路で見ることができます。

明日の神話
明日の神話

作品の種類と特徴

岡本太郎の作品にはどのような種類があるのでしょうか?以下では、「油彩画」「セラミック作品」「版画作品」について説明します。

  1. 油彩画
    キャンバスに油絵の具で描かれた作品です。岡本太郎の直筆作品の中でも、特に油彩画は流通量が少なく、貴重とされています。これは、岡本太郎が「売り絵」としてではなく、主にお世話になった方々への贈り物として制作していたためです。
  2. セラミック作品
    代表作の一つに『座ることを拒否する椅子』があります。セラミック作品は、デザインや状態によって評価が大きく変わります。
  3. 版画作品
    版画には、直筆サイン入りの作品とスタンプサイン(エスタンプ)の作品があります。直筆サイン入りの作品の方が評価は高く、スタンプサインの作品は岡本太郎の没後に制作されたものです。いずれの場合も、シミや退色などの状態が評価に影響します。

作品の見分けるポイント

岡本太郎の作品の特徴は、大胆な色使いと独特なフォルムにあります。

「明暗対立」や「線と面」を駆使した画風は、見る者に強烈な印象を与えます。原色を中心に大胆でダイナミックに描かれた作品は、他の作家には真似のできない唯一無二のものとして評価されています。

岡本太郎作品の買取相場・実績

※買取相場価格は当社のこれまでの買取実績、および、市場相場を加味したご参考額です。実際の査定価格は作品の状態、相場等により変動いたします。

クリマ

クリマ
買取実績価格:25万円

子どもの時間

子どもの時間
買取実績価格:20万円

岡本太郎の作品を高値で売却するポイント

岡本太郎の鑑定機関・鑑定人

岡本太郎の作品については、一般的な美術品と異なり、公的な鑑定機関や専門の鑑定家は現在のところ設立されていません。しかし、当社では長年の実績と専門知識を活かし、作品の真贋判定を含めた買取査定を承っております。作品をお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください

来歴や付帯品・保証書

来歴や付帯品:購入先の証明や美術館に貸出、図録に掲載された作品等は鑑定書が付帯していなくても査定できる場合があります。
保証書:購入時に保証書が付帯する作品もあるので大切に保管しましょう。

贋作について

ここ数十年のインターネットや化学技術の向上により、著名作家の贋作が多数出回っています。

ネットオークションでは全くの素人を装い、親のコレクションや資産家所蔵品等の名目で出品し、ノークレームノーリターンの条件での出品が見受けられます。

落札者は知識がないがために落札後のトラブルの話をよく聞きます。お手持ちの作品について「真贋が気になる」「どの様に売却をすすめるのがよいか」等、お困りごとがあればご相談のみでも承っております。

版画

共通事項(状態を良好に保つ為の保管方法)

版画には有名画家が直接携わり監修した作品も多くあります。主に版画作品下部に作家直筆サインとエディション(何部発行した何番目の作品であるか)が記載されています。主に紙に刷られており、湿気や乾燥に弱いです。また直射日光が長期間当たると色飛びの原因になります。掛ける場所・保管場所には十分注意しましょう。

リトグラフ

石版画とも言われ、ヨーロッパの歴史では古くから用いられてきました。日本でも昭和から活発に使用され、各地にリトグラフ専門の工房が存在します。

シルクスクリーン

枠にメッシュ素材(シルクやナイロン)の布を張り、油性描画剤で直接絵を描いたり、マスキングをし絵の具の通る部分通らない部分を作った版を紙に乗せ写しとる技法です。絵画以外にも写真や被服等にも応用されています。

岡本太郎についての補足情報

主要美術館の見どころ 岡本太郎の作品を実際に見られる場所として、2つの重要な美術館があります。

  1. 岡本太郎記念館
    東京・青山にある岡本太郎記念館は、1996年に岡本太郎が生涯を閉じるまでの40年以上、創作活動の拠点とした場所です。1998年に開館し、岡本太郎の生涯や作品を総合的に紹介しています。
  2. 川崎市岡本太郎美術館
    1999年に開館した川崎市岡本太郎美術館には、岡本太郎が80歳の時に寄贈した352点の主要作品をはじめ、後に追加寄贈された作品を含め、充実したコレクションを見ることができます。

近年の評価と展覧会情報

2011年の生誕100年を機に、岡本太郎への評価は新たな段階を迎えています。死後20年以上が経過した現在も、若い世代から強い支持を得ており、その影響力は衰えることを知りません。

2023年には、岡本太郎美術館で「岡本太郎とスポーツ」展、九州芸文館で「岡本太郎の写真―日本を見つめる眼」展、滋賀県立陶芸の森で「岡本太郎 アートの夢」展が開催されるなど、さまざまな切り口から岡本太郎の芸術が再評価されています。

まとめ

本記事では、「芸術は爆発だ!」の言葉とともに、独創的な表現で日本の美術界に新風を吹き込んだ岡本太郎の人生と作品について紹介してきました。

いかがでしたでしょうか。原色を大胆に使用し、既成概念にとらわれない表現で、多くの人々を魅了し続けた岡本太郎の作品世界を、少しでも感じていただけたでしょうか。

岡本太郎の作品は、絵画から彫刻、陶芸まで多岐にわたり、それぞれが唯一無二の価値を持っています。

作品をお持ちの方は、まずは専門家による査定をご検討ください。作品の状態や来歴によって評価は大きく異なりますので、信頼できる専門家に相談することで、作品の価値を正しく見極めることができます。

当社では、あなたの大切な作品の価値を最大限に引き出すべく、丁寧な査定と適切なアドバイスを提供いたします。岡本太郎の作品の買取をご検討される際は、ぜひお問い合わせください。

岡本太郎の作品の買取をご検討される際はこちらをご覧下さい。

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