奈良美智作品の買取相場と高値売却のポイント：代表作から市場動向まで徹底解説
- シルクスクリーン
- リトグラフ
- 奈良美智
- 版画
はじめに
みなさん、現代アートの世界で注目を集める奈良美智（ならよしとも）をご存知ですか？不機嫌な表情の少女や、愛らしくもどこか物悲しげな犬を描いた作品で知られる奈良美智は、国内外で高い評価を受けている芸術家です。
また、同じく世界的に活躍する現代美術家の村上隆とも交流があることで知られており、日本を代表する現代アーティストの一人として、国際的な美術シーンでも重要な位置を占めています。
今回は、奈良美智の経歴と作品の魅力をご紹介するとともに、作品の買取に関する情報もお伝えします。奈良美智の作品に興味のある方、買取を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
また、皆さんは奈良美智の作品を実際に観たことがありますか？もしまだなら、この記事を読んで、ぜひ美術館に足を運んでみて下さい。
奈良美智とは？
アーティストとしての軌跡
奈良美智は1959年12月5日、青森県弘前市に生まれました。幼少期は共働きの両親のため、多くの時間を1人で過ごす「鍵っ子」だったそうです。1人で過ごす時間が多かった奈良は、空想をしたり絵を描いたりして時間を過ごしました。この一人で過ごす時間が想像力を育み、後に奈良独特の少女像や、内面性の強い作品を生み出すきっかけとなったのかもしれません。
1978年に青森県立弘前高等学校を卒業後、奈良は武蔵野美術大学や愛知県立芸術大学大学院での美術教育を経て、1988年にドイツ国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに入学します。ここで奈良は、ドイツ新表現主義美術の代表格A.R.ペンクに師事し、芸術家としての基礎を築きました。
1994年から2000年まで、奈良はケルンにアトリエを構え、精力的に制作活動をおこないます。この時期には、奈良を代表する様な作品が次々と生み出されました。2000年に日本に帰国した奈良は、翌年に国内5カ所を巡回する大規模な個展「I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.」を開催し、大きな反響を呼びました。
奈良美智の芸術観
奈良美智の作品は、無垢さと無邪気さの中に、どこか悪魔的な要素を感じさせる独特の魅力を持っています。特に、挑戦的な眼差しの少女を描いた作品は、奈良の代名詞とも言えるでしょう。
奈良の芸術観は、彼の幼少期の経験や音楽への愛着と深く結びついています。特にロック音楽の影響は大きく、制作中も音楽を流しながら作品を生み出すそうです。
また、奈良は社会問題にも深い関心を持っており、シリア難民支援のためのデザインカード制作なども行っています。2011年の東日本大震災後には、より複雑な人間性を感じさせる作品を制作するなど、時代や社会の変化に応じて表現を進化させ続けています。
奈良美智の作品の魅力や特徴
奈良美智の作品を見て、どのような印象を受けましたか？多くの人が、その独特の世界観に惹きつけられるようです。ここでは、奈良美智の代表作品とその魅力について詳しく見ていきましょう。
代表作品とその解説
1. ナイフ・ビハインド・バック（Knife Behind Back）
出典：Artpedia
2000年に制作された『ナイフ・ビハインド・バック』は、奈良美智の代表作の一つです。赤い服を着た3歳くらいの幼い少女が、挑戦的な眼差しでこちらを見つめています。タイトルからはナイフを隠していることが示唆されていますが、実際にナイフは描かれていません。
この作品は、子どもの無垢さと危険性が同居する奈良の世界観を象徴的に表現しています。2019年のサザビーズ香港のオークションで約27億円という驚異的な価格で落札され、大きな話題となりました。
2.あおもり犬
出典：青森県立美術館
『あおもり犬』は、2006年に制作された高さ8.5mの巨大な立体作品です。青森県立美術館の常設展示室のすぐ外に設置されており、巨大な体の半分が地面に埋まっている独特の姿は、観る人を驚かせ、強く印象に残ります。
目を伏せて静かに佇む『あおもり犬』は、まるで誰かに発掘されるのを待っているかのようです。この作品は、奈良の故郷である青森と深く結びついており、地域の新しいシンボルとなっています。
3.春少女
出典：Artpedia
『春少女』（2012年）は、東日本大震災後の奈良美智の心境の変化を如実に表す重要な作品です。それまでの挑戦的な眼差しの少女とは異なり、大きな目を見開いてまっすぐ前を向く少女が、温かく優しいタッチで描かれています。木漏れ日のような光と柔らかな色彩からは、「春」の訪れと希望が感じられます。従来の作品とは異なる優しい表情と明るい色調が印象的です。
多様な表現方法と技法
奈良美智の作品は、絵画、立体作品、写真作品など、多岐にわたります。版画作品も多く制作しており、特に木版画は高額で取引される傾向にあります。
近年では立体作品の制作も増えており、『あおもり犬』や『Your Dog』シリーズなどが注目を集めています。これらの作品は、奈良の表現の幅の広さを示すものと言えるでしょう。
【『Your Dog』についての補足：隈研吾建築に奈良美智の“Your Dog”！大分県・湯布院の庭園。】
奈良美智作品の買取相場・実績
※買取相場価格は当社のこれまでの買取実績、および、市場相場を加味したご参考額です。実際の査定価格は作品の状態、相場等により変動いたします。
Guitar Girl
箱の中の女の子
On the F-word
奈良美智の作品を高値で売却するポイント
水彩・デッサン作品
状態良好、保管方法
主に紙に描かれていることの多い水彩やデッサンは、モチーフに対して紙の余白がある反面、しみや日焼けが目立つ事があります。
アクリル画(額)
状態を良好に保つ為の保管方法
アクリル画は主に布を張ったキャンバスと言われるものにアクリル絵の具で描かれています。他にも板に直接描かれた作品もあります。アクリル絵の具は乾燥に弱く、色によってはヒビ割れ目立つ作品が見受けられます。また、湿気によりカビなどが付着しやすく、カビが根深い場合は修復困難となってしまいます。高温多湿を避け、涼しい場所に飾りましょう。また箱にしまったままも湿気やすい為、最低でも年に2回は風を通すようにしましょう。
版画作品
版画には有名画家が直接携わり監修した作品も多くあります。主に版画作品下部に作家直筆サインとエディション(何部発行した何番目の作品であるか)が記載されています。主に紙に刷られており、湿気や乾燥に弱いです。また直射日光が長期間当たると色飛びの原因になります。掛ける場所・保管場所には十分注意しましょう。
フィギュア(立体)
状態や付属品
状態ももちろんですが、購入時の箱やケースが付帯するかにより、金額が変動する場合もあります。
また、裏にサインやエディションの記載が有るものもあるので確認してみましょう。
高価買取に関する補足情報
来歴や付帯品・保証書
来歴や付帯品：購入先の証明や美術館に貸出、図録に掲載された作品等は鑑定書が付帯していなくても査定できる場合があります。
保証書：購入時に保証書が付帯する作品もあるので大切に保管しましょう。
贋作情報
ネットオークション・フリマアプリ等において、奈良のサインやサインに付随する絵柄に偽せた「偽オートグラフ」付きの書籍が、奈良美智の「サイン付き本」や「ドローイング作品」として取引されているとの報告があります。
奈良美智作品の贋作についてのニュース情報
奈良美智についての補足情報
国内外での評価と展示
奈良美智の作品は、国内外の多くの美術館に収蔵されています。特に、ニューヨーク近代美術館（MoMA）やロサンゼルス現代美術館など、世界的に有名な美術館でも作品を観ることができます。
日本国内では、青森県立美術館が170点以上の奈良作品を所蔵しており、常設展示で楽しむことができます。また、十和田市現代美術館の外壁に描かれた《夜露死苦ガール》や、弘前れんが倉庫美術館の《A to Zメモリアル・ドッグ》など、青森県内には奈良の作品が多く点在しています。
2010年から2011年にかけて、ニューヨークのアジア・ソサエティ美術館で開催された大規模な個展「Nobody’s Fool」は大きな反響を呼び、同館の過去最多入場者数を記録しました。同年、奈良はニューヨーク国際センター賞も受賞しています。
作品の市場動向
市場動向としては、近年奈良の作品の価格が急騰しています。2021年には『Missing in Action』が約15億円で落札されるなど、高額での取引が相次いでいます。特に初期の作品や大型の絵画作品は、高値で取引される傾向にあります。
コレクターズアイテムとしての魅力
奈良美智の作品は、美術品としての価値だけでなく、コレクターズアイテムとしても人気があります。限定エディション作品や、ミュージシャンとのコラボレーションによるCDジャケットなど、多様な作品が存在します。
また、奈良は音楽好きとしても知られており、ニューヨークでの展覧会オープニングにはヨ・ラ・テンゴやデボラ・ハリーなども訪れたそうです。
奈良美智と現代アートシーン
2018年に、拠点とする栃木県那須市に私設現代アートスペース「N’s YARD」を開設。ここでは奈良の制作現場や、インスピレーションを与えてきたオブジェなどが展示されており、アーティストの創作プロセスを垣間見ることができます。
まとめ
奈良美智は、その独特の表現方法と世界観により、現代アートの世界で確固たる地位を築いています。不機嫌な表情の少女や、どこか物悲しげな犬などのモチーフを通じて、多くの人々の心に響く作品を生み出してきました。
奈良美智の作品の魅力は、観る人それぞれに異なる印象を与える点にあります。あなたはどのような感情を抱きましたか？作品に込められた複雑な感情や社会への視点は、鑑賞者の心に様々な問いかけをしているようです。
奈良美智の作品の価値は年々高まっており、美術品投資の観点からも注目を集めています。しかし、贋作の問題もあるため、作品の売買を考える際は専門家による適切な査定が不可欠です。
奈良美智作品の売却に関するご相談は、専門家にお任せください。経験豊富なスタッフが、作品の査定から売却までを丁寧にサポートいたします。まずは、お気軽にお問い合わせください。
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