北大路魯山人の作品価値と買取相場2025|作品の特徴から市場評価まで

はじめに

陶芸家・書家・美食家として知られる北大路魯山人。その名を聞いて、「器は料理の着物」という言葉を思い出す方も多いのではないでしょうか。

また、彼は漫画『美味しんぼ』に登場する海原雄山のモデルともいわれ、美と食に対する鋭い審美眼と厳格な姿勢は、今なお多くの人々に影響を与えています。

その審美眼から、魯山人は陶芸作品を中心に、漆芸、書、絵画など、多彩な分野で独自の美の世界を築き上げました。

今回は、そんな北大路魯山人の生涯と作品の魅力をご紹介します。作品の買取に関する情報もご用意していますので、魯山人作品をお持ちの方、売却をご検討の方は、ぜひ最後までお読みください。

備前トクリ
備前トクリ

北大路魯山人とは?

天才陶芸家としての評価

北大路魯山人は、陶芸作品を中心に20~30万点という膨大な作品を残した稀有な芸術家です。織部、備前、信楽、志野、瀬戸焼など、多くの作品を研究し、特に桃山時代の陶芸を範として、独自の作風を確立しました。

その作品は、食や生活を「引き立てる器」という観点から生み出され、織部の緑色で魅せる作品や、鮮やかな色絵で彩色した自由でダイナミックな作品は、現代でも高い評価を受けています。

多大な功績を残した魯山人ですが、その生い立ちは決して恵まれたものではありませんでした。1883年、京都府の賀茂別雷神社の社家に生まれますが、父の死と母の失踪により、6歳で木版師・福田武造の養子となるまで、波乱の幼少期を送ることになります。

しかし、そんな厳しい環境の中でも、魯山人の才能は着実に育まれていきます。6歳の時には自ら炊事の担当を申し出て、様々な食材を使い、季節に応じた料理を作っていたと伝えられています。美食家と呼ばれた魯山人の原点は、この頃から始まっていたのかもしれません。

では、魯山人はどのようにして料理と陶芸を結びつけていったのでしょうか。

料理と器の革新者として

魯山人は1915年に北大路姓を継いでから、日本各地を巡り、古美術と美食について研究を重ねていきました。その過程で、料理と器の関係性に着目し、「料理は盛付けをする器と一体でなければならない」という独自の美意識を確立します。

 「器は食の着物」「贅沢な食材を使い器を考えないのは野暮というもんだ」という言葉は、その思想を端的に表しています。

この考えを実践するため、1925年に東京・赤坂に会員制の料亭「星岡茶寮」を開店。そして1927年には、自らの理想とする器を作るため、神奈川県北鎌倉に「魯山人窯芸研究所星岡窯」を開設し、本格的な作陶活動を始めます。

このように料理と器の調和を追求した魯山人ですが、その創作に対する姿勢はどのようなものだったのでしょうか。

備前四方鉢
備前四方鉢

作品に込められた美意識

生前、魯山人と親交があった黒田草臣氏は、魯山人の創作に対する姿勢について興味深い証言を残しています。魯山人は作品制作において、「手間ひまかければよいというものではない。肝心かなめの美意識や美的感覚が低くてはダメだ」としばしば語っていたといいます。

※黒田草臣(生前に親子二代で魯山人と深い親交を持っていた「黒田陶苑」代表取締役)

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北大路魯山人の作品の魅力や特徴

代表的な作品とその特徴

魯山人の陶芸作品は、実に多彩な表情を見せてくれます。特に人気が高いのは、織部の緑色で魅せる作品や、鮮やかな色絵で彩色された自由でダイナミックな作品です。

ろくろを使わず手びねりで作られた作品からは、柔らかな温もりが感じられるのも魅力の一つ。現代においても、多くの人々を惹きつける大きな要因となっています。

染付扇面型吉字向付

「染付扇面型吉字向付」は、器の中に「吉」の文字が書かれ、料理を食べ終えるまで文字が見えないという仕掛けが特徴。魯山人らしい遊び心が随所に光る逸品です。

織部釉長板鉢

「織部釉長板鉢」は、50cmにも及ぶ大きな板状の器で、表面には波状の凹凸を作り、草文の絵付けや櫛目の技法が施されています。ダイナミックな造形と装飾が、魯山人の美意識をよく表している作品の一つです。

草平向

志野焼の「草平向」は、あのピカソが気に入り、譲ってほしいと願い出たという逸話が残るほど注目された作品です。白を基調とした志野焼ならではの柔らかな風合いと、魯山人の独創性が見事に融合しています。

染付福字皿

「染付福字皿」は、生前に何千枚も制作されたシリーズで、どれひとつとして同じ「福」の字体がないのが最大の特徴。シンプルな見た目ながら、一枚一枚に込められた魯山人の個性が光り、多くの愛好家を惹きつけています。

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作風と技法の変遷

魯山人の作品の特徴として、その多様性が挙げられます。志野、備前、織部、染付など、様々な技法に挑戦し、一つのジャンルにこだわることなく、自由な創作活動を展開しました。

これは、料理に使用するための器として作られたという背景が大きく影響しています。特定の技法を極めるという一般的な陶芸家の姿勢とは異なり、料理を引き立てることを第一に考えた結果といえるでしょう。

魯山人は1915年に北大路姓を継いでから、日本各地を巡り、古美術と美食について研究を重ねていきました。そして、自らの料理を自ら選んだ陶器に盛って客に出すようになり、このスタイルは多くの人々の心を捉えました。

北大路魯山人の作品の見分け方

魯山人の作品を見分ける上で重要なポイントの一つが、作品に残された署名です。作品の底部には掻銘、描銘、印銘で「ロ」「魯」「魯山人」等のサインが見られます。

興味深いことに、これらのサインは時期によって変化があり、前半期は漢字、後半期はカタカナの「ロ」が使われています。現在流通している作品では、カタカナのサインが最も多く見られるのが特徴です。

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北大路魯山人作品の買取相場・実績

※買取相場価格は当社のこれまでの買取実績、および、市場相場を加味したご参考額です。実際の査定価格は作品の状態、相場等により変動いたします。

魯山人の作品は、書や絵画、陶芸など多方面に及びますが、特に陶芸作品は人気が高く、美術品買取市場でも高値で取引されています。作品の状態や箱書きの有無などにより価格は大きく変動しますが、一般的な食器でも5万円~30万円程度の買取相場を期待できます。

一方、酒器のセットや出来栄えの良い大皿などは、50万円~100万円以上の高額買取になることも珍しくありません。さらに、代表的な意匠の逸品ともなれば、500万円~数千万円の値が付くこともあります。

吹墨魚貝文花瓶

吹墨魚貝文花瓶
買取実績価格:350万円

染付福之字

染付福之字 沙羅
買取実績価格:35万円

織部菊平向 五

織部菊平向 五
買取実績価格:30万円

北大路魯山人の作品の査定・買取について、まずはお気軽にご相談ください。

北大路魯山人の作品を高値で売却するポイント

北大路魯山人の鑑定機関・鑑定人

来歴や付帯品・保証書

来歴や付帯品:購入先の証明や美術館に貸出、図録に掲載された作品等は鑑定書が付帯していなくても査定できる場合があります。
保証書:購入時に保証書が付帯する作品もあるので大切に保管しましょう。

贋作について

ここ数十年のインターネットや化学技術の向上により、著名作家の贋作が多数出回っています。ネットオークションでは全くの素人を装い、親のコレクションや資産家所蔵品等の名目で出品し、ノークレームノーリターンの条件での出品が見受けられます。

落札者は知識がないがために落札後のトラブルの話をよく聞きます。お手持ちの作品について「真贋が気になる」「どの様に売却をすすめるのがよいか」等、お困りごとがあればご相談のみでも承っております。

陶磁器

状態を良好に保つ為の保管方法

ガラス質の釉薬で表面を覆われた陶器や磁器は、観賞用や日常食器などで使われることがあります。表面が主にガラス質な為、水で洗う等したら表面の主な汚れは取れます。唯一、割れや欠けは避けるように大切に取り扱いましょう。もし割れたり欠けたりしても「金継ぎ」と言う技法で修復は可能です。近年では金継ぎの跡も鑑賞の対象として評価されつつあります。

共箱(ともばこ)

陶磁器を収納する箱の事で、蓋の表に表題(作品タイトル)、蓋の内側に作家のサインが作家自身の直筆で記載されてあります。共箱は陶磁器の証明書の役割をしており、無い場合は査定額に響く場合もあります。

書付、識箱・極箱

共箱の分類に書付(かきつけ)と識箱(しきばこ)・極箱(きわめばこ)があります。
書付とは茶道具を中心に各家元が優れた作品に対して銘や家元名を共箱に記します。
識箱・極箱は、作者没後、真贋を証明する為、鑑定の有識者や親族が間違いがないと認定した物に共箱の面や裏に記します。

作品の価値を高める要素

日本を代表する陶芸家として、魯山人の作品は国内の陶芸作家の中でもトップクラスの評価を受けています。その作品の中には買取金額が1000万円を超えるものも存在し、美術館収蔵級の一級品は特に高い評価を受けています。

このような評価を得ている作家は、他には板谷波山がいる程度で、非常に希少な存在となっています。この高い評価は、美術館での展示や展覧会の開催にも表れています。

展覧会・美術館での評価

魯山人の作品は、没後60年以上を経た今でも、その価値は衰えることを知りません。2019年には千葉美術館で「没後60年 北大路魯山人 古典復興 ー現代陶芸をひらくー」展が開催され、120点を超える作品が展示されました。

さらに2020年には、足立美術館に「魯山人館」がオープン。ここでは400点以上の作品が展示されており、魯山人芸術の真髄に触れることができます。このように、現代においても魯山人の作品に触れる機会は着実に増えています。

魯山人の作品価値は、美術品としての評価だけでなく、実用的な面でも高く評価されています。

一流料亭での使用実績

魯山人の作品の大きな特徴は、現役で使用され続けているという点です。特に注目すべきは、魯山人の考えた「器は料理の着物」という思想が、現代の料理界でも大切にされている点でしょう。

生前、魯山人は「贅沢な食材を使い器を考えないのは野暮」という言葉を残していますが、この考えは今でも多くの一流料亭で受け継がれています。

収蔵品としての価値

魯山人の作品は、その種類や形態によって価値が大きく異なります。皿、ぐい呑、徳利、茶碗、花器など、様々な種類があり、それぞれに年代、意匠、状態、箱の有無などが価値に影響を与えます。

特筆すべきは、魯山人の作品が持つ特別な市場価値です。他の有名陶芸作家の作品と比べ、識箱や箱が無い場合でも相場価格が安定しているという特徴があります。これは、作品自体の芸術性の高さと、実用性を兼ね備えた魯山人作品ならではの特徴と言えるでしょう。

関連記事:日本を代表する人気陶芸家5選:人間国宝と陶芸の巨匠たち

よくある質問

Q. 北大路魯山人は何がすごい人ですか?
A. 陶芸、書、絵画、料理まで、多彩な分野で卓越した才能を発揮した芸術家です。特に陶芸では20~30万点もの作品を残し、「器は料理の着物」という独自の美意識で、現代の日本料理の発展にも大きな影響を与えました。

Q. 北大路魯山人の家系は?
A. 京都府の賀茂別雷神社の社家という由緒ある家系の出身です。しかし、父の死と母の失踪により、6歳で木版師の養子となるまで、波乱の幼少期を送りました。

Q. 北大路魯山人の作品の見分け方は?
A. 作品の底部に見られる署名が重要な手がかりとなります。前半期は漢字で「魯」「魯山人」、後半期はカタカナの「ロ」という特徴があります。現在流通している作品では、カタカナのサインが最も多く見られます。

まとめ

料理を引き立てる器を追求し続けた北大路魯山人。その作品は、美術館での展示はもちろん、現代の一流料亭でも使用され続けており、美術品としての価値と実用性の両面で高い評価を得ています。

特に近年は、作品の価値が再評価され、市場での需要も高まっています。作品をお持ちの方は、その真価を見極めるためにも、まずは専門家による査定をお勧めします。

当社では、あなたの大切な作品の価値を最大限に引き出すべく、丁寧な査定と適切なアドバイスを提供いたします。北大路魯山人の作品の買取をご検討される際は、ぜひお問い合わせください。

また、LINEからの査定依頼も受け付けています。(スマホで写真を撮って送るだけ!)詳しくは【LINE査定ページ】をご覧ください。

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