【2025年版】鏑木清方の買取相場・価値とは?代表作や経歴も詳しく紹介

  • 美人画
  • 鏑木清方

はじめに

鏑木清方(かぶらき きよかた)という名前を聞いたことはありますか? 明治から昭和にかけて活躍した画家で、近代日本画の美人画を語るうえで欠かせない存在です。

上村松園(うえむら しょうえん)、伊東深水(いとう しんすい)と並び、「美人画の三巨匠」と称される清方。その作品は、浮世絵の伝統を受け継ぎながらも、繊細で品格のある表現が魅力です。文化勲章を受章し、後世に多大な影響を与えた画家としても知られています。

今回は、近代日本画の礎を築いた鏑木清方の生涯と作品の魅力についてご紹介します。作品をお持ちの方は、買取に関する情報も含めておりますので、ぜひ最後までお読みください。

紅時雨
紅時雨

鏑木清方とは?

美人画の第一人者としての軌跡

1878年、東京都神田に生まれた鏑木清方。父は条野採菊(じょうの さいぎく)といい、山々亭有人と号した幕末の人情本作家でした。

14歳の時、浮世絵師の系譜を引く水野年方に入門し、翌年には画業に専心することとなります。

若くして才能を発揮した清方は、17歳頃から父が経営していた「やまと新聞」の挿絵を担当。その後、「東北新聞」「九州日報」など、地方新聞や諸雑誌の挿絵も手がけ、10代という若さでプロの挿絵画家として活躍します。

20歳となった1897年には第2回日本絵画協会展に初めて「ひなた」を出品。以降、展覧会への出品を重ねながら、画家としての活動の場を広げていきます。

1901年には仲間の画家らと烏合会を結成。このころから、「本絵」(挿絵とは異なり、独立した絵画作品として成立している)の制作を本格的に取り組みはじめ、烏合会の展覧会が主な発表の場となっていきました。

1902年には初期の代表作「一葉女史の墓」を発表。少年期から樋口一葉を愛読していた清方は、一葉の作品や人物像を題材とした作品も数多く残しています。

1927年、49歳の時に帝展に出品した「築地明石町」が帝国美術院賞を受賞。これを契機に、日本画壇を代表する画家としての地位を不動のものとしました。

さらに1930年には「三遊亭円朝像」を制作。この作品は清方には珍しい壮年男性の肖像でありながら、その優れた表現力が認められ、後に重要文化財に指定されています。

移りゆく時代の中で人々の生活を描く 鏑木清方
「一葉女史の墓」

泉鏡花との出会いと芸術性の深化

清方の芸術性を語る上で、欠かすことができないのが作家・泉鏡花(いずみ きょうか)との出会いです。

1901年、泉鏡花から小説『三枚続(さんまいつづき)』の口絵(イラスト)を依頼されたことをきっかけに、両者は親交を深めていきました。

この出会いは、清方の創作活動に大きな影響を与えることとなります。文学への造詣を深めた清方は、自身も随筆集を手がけるようになり、特に文学から題材を得た日本画を数多く生み出していきます。

※泉 鏡花(いずみ きょうか)
日本の小説家。明治後期から昭和初期にかけて活躍した。小説のほか、戯曲や俳句も手がけた。帝国芸術院会員。

鏑木清方の作品の魅力や特徴

浮世絵の伝統を受け継いだ美人画表現

清方の作品は、全体の画面構成に浮世絵の伝統を感じさせながらも、独自の近代性を備えています。特に美人画においては、髪の毛一本一本から着物の柄や質感まで、緻密な描写力で対象を捉えた表現が特徴です。

着物や帯の選択、髪型の表現には時代背景や季節感が巧みに織り込まれており、清方の卓越した美意識が表れています。このような感性は画業にとどまらず、浴衣デザインや舞台衣装の考案にも活かされました。

凛とした気品を湛えた女性像には、単なる外見の美しさだけでなく、内面からにじみ出る情感までもが表現されています。この優美さと写実性を兼ね備えた表現力は、近代美人画の一つの到達点として高く評価されています。

しかし、清方の芸術性は美人画にとどまりません。

八重佐久良
八重佐久良

時代を映す風俗画の価値

清方は美人画だけでなく、明治の生活や風俗を題材とした作品にも数多く取り組みました。代表作「墨田河舟遊」では、隅田川での舟遊びの情景や人形劇を楽しむ人々、釣りをする子供達など、当時の人々の暮らしが生き生きと描かれています。

明治から大正、そして昭和へと移り変わる東京の姿を見つめ続けてきた清方でしたが、関東大震災と戦災という二つの災禍により、清方の心に刻まれた明治の東京の風景は失われていきました。しかし、清方は自身が愛した下町の情景を、「築地川」などの作品群に鮮やかに留めています。

代表作「築地明石町」に見る芸術性

1927年に描かれた「築地明石町」は、清方芸術の傑作です。明治期の築地を舞台に、近代化する街並みと伝統的な装いの女性を描き出した本作は、高く評価されています。

知人の「江木ませ子」をモデルに選んだ本作品は、和装姿の女性が醸し出す凛とした佇まいと、どこか憂いを含んだ表情が印象的です。完成から44年もの間その所在が確認できなかったことから、美術界では「幻の名作」として語り継がれてきました。

本作は「新富町」「浜町河岸」と共に三部作を形成しており、2019年に東京国立近代美術館がこれら3点を5億4000万円で一括購入したことは、美術界の大きな話題となりました。これらは明治から大正期の東京の都市風景と人々の暮らしを映し出した貴重な作品群として高く評価されています。

移りゆく時代の中で人々の生活を描く 鏑木清方
「築地明石町」

重要文化財「三遊亭円朝像」の芸術性

1930年の作品「三遊亭円朝像」は、女性像を得意とした清方にとっては珍しい男性肖像画でありながら、代表作の一つに数えられています。

幼少期に父を通じて交流があり、画家の道を勧めてくれた恩人への深い敬意が込められた作品です。

正座して湯呑みを手にした円朝の姿は、まさに高座で話を始めようとする瞬間を切り取っています。名寄席師の気品と風格が見事に表現された本作品は、着物の質感や座布団の織り模様に至るまで緻密な描写が施され、2003年には重要文化財の指定を受けました。

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鏑木清方作品の買取相場

※下記では、過去に実際に当社で取り扱った鏑木清方の作品をご紹介いたします。

当社では、これまでに鏑木清方作品を多数取り扱っており、豊富な査定・買取実績がございます。作品の評価や真贋のご相談など、お気軽にご相談ください。

探梅之図
探梅之図
美人之図
美人之図
春立つ浦
春立つ浦
杜鴉之図
杜鴉之図
祭りの夜
祭りの夜
アジサイ
アジサイ

鏑木清方の作品の査定・買取について、まずはお気軽にご相談ください。

鏑木清方の作品を高値で売却するポイント

鏑木清方の鑑定機関・鑑定人

  • 東美鑑定評価機構 鑑定委員会
    一般財団法人東美鑑定評価機構は、美術品の鑑定による美術品流通の健全化及び文化芸術の振興発展に寄与する公的鑑定機関。

来歴や付帯品・保証書

来歴や付帯品:購入先の証明や美術館に貸出、図録に掲載された作品等は鑑定書が付帯していなくても査定できる場合があります。
保証書:購入時に保証書が付帯する作品もあるので大切に保管しましょう。

贋作について

ここ数十年のインターネットや化学技術の向上により、著名作家の贋作が多数出回っています。

ネットオークションでは全くの素人を装い、親のコレクションや資産家所蔵品等の名目で出品し、ノークレームノーリターンの条件での出品が見受けられます。

落札者は知識がないがために落札後のトラブルの話をよく聞きます。お手持ちの作品について「真贋が気になる」「どの様に売却をすすめるのがよいか」等、お困りごとがあればご相談のみでも承っております。

日本画(額)

状態を良好に保つ為の保管方法

日本画は主に紙や絹に岩絵具で描かれており、湿気やカビにとても弱いです。また直射日光などは酸化の原因になり、劣化します。直射日光を避け、涼しい場所に飾りましょう。また箱にしまったままも湿気やすい為、最低でも年に2回は風を通すようにしましょう

修復方法

日本画修復の専門店にお願いすることが1番です。下手に自身で手を入れると、返って悪化するケースもあります

共シール

「共(とも)シール」とはいわば、日本画に付帯する作品証明のような物です。多くは表題(絵のタイトル)と作家名が、作家自身の直筆で書かれており、絵画の裏面に貼ってあります。共シールの有無により評価が変わる場合があるので、ご所有の作品にあるか確認してみてください。

掛軸

状態を良好に保つ為の保管方法

掛軸は主に紙や絹に岩絵具で描かれており、湿気やカビにとても弱いです。また直射日光などは酸化の原因になり、劣化します。直射日光を避け、涼しい場所に飾りましょう。また箱にしまったままも湿気やすい為、最低でも年に2回は風を通すようにしましょう。

共箱(ともばこ)

掛軸を収納する箱の事で、蓋の表に表題(作品タイトル)、蓋の内側に作家のサインが作家自身の直筆で記載されてあります。共箱は掛軸の証明書の役割をしており、無い場合は査定額に響いてきます。

書付、識箱・極箱

共箱の分類に書付(かきつけ)と識箱(しきばこ)・極箱(きわめばこ)があります。
書付とは茶道具を中心に各家元が優れた作品に対して銘や家元名を共箱に記します。
識箱・極箱は、作者没後、真贋を証明する為、鑑定の有識者や親族が間違いがないと認定した物に共箱の面や裏に記します。

水彩・デッサン

主に紙に描かれていることの多い水彩やデッサンは、モチーフに対して紙の余白がある反面、しみや日焼けが目立つ事があります。

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鏑木清方についての補足情報

鏑木清方記念美術館

鏑木清方記念美術館

神奈川県鎌倉市雪ノ下に設けられた「鏑木清方記念美術館」は、画家の旧居跡に1998年開館した記念館です。代表作「朝涼(あさすず)」(1925年)や初期の傑作「一葉女史の墓」(1902年)をはじめ、清方の画業を物語る初期から晩年までの作品を幅広く収集・展示しています。

館内では企画展示のほか、日本画の世界をより深く知るための講座なども開催。美術に親しみのない方でも気軽に参加できる工夫が施され、幅広い世代から好評を得ています。

小さな絵巻物から大作まで、多彩な作品群を見ることができるのも魅力です。静かな住宅街に佇む館内には、風情ある庭園も整備されており、ゆったりと作品を鑑賞することができます。

まとめ

美人画の巨匠・鏑木清方の芸術についてご紹介してまいりましたが、その比類なき魅力を感じていただけましたでしょうか。

挿絵画家として才能を開花させ、やがて美人画の第一人者として日本美術史に大きな足跡を残した清方。髪の毛一本一本まで描き込まれた緻密な筆致と、女性の内面までも映し出すその独自の芸術世界は、明治から昭和へと移りゆく東京の風情とともに、今なお私たちの心を魅了し続けています。

当社では、あなたの大切な作品の価値を最大限に引き出すべく、丁寧な査定と適切なアドバイスを提供いたします。鏑木清方の作品の買取をご検討される際は、ぜひお問い合わせください。

また、LINEからの査定依頼も受け付けています。(スマホで写真を撮って送るだけ!)詳しくは【LINE査定ページ】をご覧ください。

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