【2025年最新】ジョアン・ミロ作品の価値と相場解説|スペイン三大巨匠の魅力とは?

  • ジョアン・ミロ

はじめに

みなさん、色彩と形の鮮やかなシンフォニーを奏でる芸術家、ジョアン・ミロをご存知ですか?ピカソ、ダリと並ぶスペインの三大巨匠の一人として、世界的な評価を得ている芸術家です。

2020年のロンドンのサザビーズオークションでは《Peinture(Femme au chapeau rouge)》が約30億円という驚きの落札価格を記録。ミロ作品の価値は今なお上昇を続けています。特に国内では、バブル期前後に多くの作品が流通し、現在も美術品市場で高い需要があります。

今回は、作品の特徴から価値判断のポイントまで、詳しくご紹介します。ミロ作品をお持ちの方、売却をお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。

Peinture(Femme au chapeau rouge)
Peinture(Femme au chapeau rouge)

出典:サザビーズ

ジョアン・ミロとは?

シュルレアリスムの巨匠としての道のり

ミロは1893年4月20日、スペインのバルセロナで時計の金細工職人の家庭に生まれました。意外かもしれませんが、最初から画家を目指していたわけではありません。両親の希望で商業学校に通い、18歳で簿記係として働き始めたのです。

しかし、環境に馴染めず神経衰弱とチフスを患い、療養生活を送ることになります。この経験が転機となり、1912年、ミロは画家になることを決意しました。バルセロナの美術学校で学び始めた彼の人生は、ここから大きく動き出すことになります。

初期の作品は、バルセロナで開催されていたヴァン・ゴッホやセザンヌ、フォーヴィスムやキュビスムの展示会から強い影響を受けていました。美術史家たちは、この時期のミロを「カタルーニャ・フォーヴィスム時代」と呼んでいます。

※キュビスム:キュビスムとは何か? その誕生から現代アートへと続く、美術史上の大変革を読み解く

※フォーヴィスム:フォーヴィスム(野獣派)とは

パリでの活動と評価の確立

1920年、ミロは芸術の都パリを訪れます。そこでピカソをはじめとする芸術家たちと出会い、さらには後にシュルレアリスム運動の主唱者となるアンドレ・ブルトンとの運命的な出会いもありました。

1924年、ミロはシュルレアリスムグループに参加します。興味深いことに、他のシュルレアリストたちが写実的な手法を好んだのに対し、ミロは独自の自由奔放な表現を追求しました。ブルトンはこのミロの作風こそが真のシュルレアリスムだと高く評価したのです。

創作活動の変遷

1930年代に入ると、ミロはバルセロナ、パリ、マヨルカ島のパルマ・デ・マヨルカにアトリエを構え、精力的な制作活動を展開していきます。1944年からは陶器や彫刻の制作も始め、その表現の幅をさらに広げていきました。

1956年にパルマに大規模なアトリエを設立すると、作品の規模も大きくなっていきます。このアトリエでは、絵画以外の分野の職人との共同制作も行い、陶器、壁画、彫刻など、多様な作品を次々と生み出していったのです。

ミロ 日本を愛した現代スペインの巨匠

ジョアン・ミロの作品の魅力や特徴

代表的シリーズと作品

『星座シリーズ』(1940-41)は、第二次世界大戦という暗い時代に生まれた傑作です。フランスのノルマンディで制作を開始し、故郷のムンロッチで完成させたこの連作をご存知でしょうか?天体を象徴したモチーフを中心に、人や月、星などが幻想的に配置された作品群は、ミロの作品の中でも特に人気が高いものです。

明けの明星
明けの明星

出典:kamimura.com

『農園』(1921-22)は、約半年の制作期間を要した初期の油彩作品の傑作です。キャンバスには村の農園での日々の暮らしが細かく描かれ、家畜や植物、農具などがきめ細かに表現されています。この作品には興味深いエピソードがあります。作家のヘミングウェイが借金をしてまで購入したことでも知られ、現在はワシントンのナショナル・ギャラリーで見ることができます。

農園
農園

出典:kamimura.com

『Triptych Bleu I, II, III』(1961)では、ミロは新たな挑戦を行いました。キャンバス全体を青で覆い、余計な要素をそぎ落とした究極のシンプルさを追求しています。静寂と深遠さを感じさせる作品となっています。

Triptych Bleu II
Triptych Bleu II

出典:kurashify.com

ジョアン・ミロの技法と作風の特徴

ミロ作品の市場価値を理解する上で重要な技法と作風の特徴をご説明します。その代表的な特徴は、シュルレアリスムと抽象表現を独自に融合させた点にあります。1920年代後半、パリの芸術界に旋風を巻き起こしたシュルレアリスムの影響を受けながらも、ミロは独自の表現方法を確立していきました。

精神分析学の創始者フロイト博士の夢理論を基にしたシュルレアリスムですが、ミロはこれを独自の方法で解釈しています。例えば、1925年の『カタルーニャ農民の頭』では、現実にはありえない「超現実」を、独特の記号的表現と色彩で表現しています。

また、1968年の『太陽の前のトンボの飛翔』では、輝く太陽のような背景を背にトンボが繊細でありながら力強い存在感を放ち、ミロ特有の表現力を示しています。

色彩使用においても、ミロならではの特徴が見られます。特に青は「夢の色」と定義しており、重要な意味を持ち、多くの作品で使用されています。原色を基調とした大胆な色使いは、作品に強い生命力を与えているのです。

晩年になると、ミロはより直接的な表現方法を模索するようになります。1960年代には、最小限の表現で最大限の効果を生み出すことを目指し、より純粋な表現への探求を続けました。また、日本の禅の哲学や書道からも影響を受け、その要素を作品に取り入れていったのです。

第六感Ⅵ
第六感Ⅵ

ジョアン・ミロ作品の買取相場・実績

※買取相場価格は当社のこれまでの買取実績、および、市場相場を加味したご参考額です。実際の査定価格は作品の状態、相場等により変動いたします。

黄金の羽根をもつトカゲ

「黄金の羽根をもつトカゲ」より
買取実績価格:15~25万円

自作の詩を添えたリトグラフ版画集より。

LithographeⅢ PL.8

LithographeⅢ PL.8
買取実績価格:10~15万円

ミロの最もスタンダードなリトグラフシリーズより。

Georges Raillard

Georges Raillard
買取実績価格:10~15万円

交流のあった美術評論家の名を冠した作品。

ジョアン・ミロ作品の査定・買取について、まずはお気軽にご相談ください。

ジョアン・ミロの作品を高値で売却するポイント

来歴や付帯品・保証書

来歴や付帯品:購入先の証明や美術館に貸出、図録に掲載された作品等は鑑定書が付帯していなくても査定できる場合があります。
保証書:購入時に保証書が付帯する作品もあるので大切に保管しましょう。

贋作について

ここ数十年のインターネットや化学技術の向上により、著名作家の贋作が多数出回っています。

ネットオークションでは全くの素人を装い、親のコレクションや資産家所蔵品等の名目で出品し、ノークレームノーリターンの条件での出品が見受けられます。

落札者は知識がないがために落札後のトラブルの話をよく聞きます。お手持ちの作品について「真贋が気になる」「どの様に売却をすすめるのがよいか」等、お困りごとがあればご相談のみでも承っております。

版画

共通事項(状態を良好に保つ為の保管方法)

版画には有名画家が直接携わり監修した作品も多くあります。主に版画作品下部に作家直筆サインとエディション(何部発行した何番目の作品であるか)が記載されています。主に紙に刷られており、湿気や乾燥に弱いです。また直射日光が長期間当たると色飛びの原因になります。掛ける場所・保管場所には十分注意しましょう。

リトグラフ

石版画とも言われ、ヨーロッパの歴史では古くから用いられてきました。日本でも昭和から活発に使用され、各地にリトグラフ専門の工房が存在します。

ジョアン・ミロについての補足情報

主要美術館での所蔵

明けの明星

ミロの作品は、1975年に故郷バルセロナに設立されたジョアン・ミロ財団美術館や、1981年にパルマ・デ・マヨルカに設立されたマヨルカ島のジョアン・ミロ財団美術館で見ることができます。これらの美術館では、ミロの代表作を中心に、多様な作品群を鑑賞することができます。

日本とミロの関係

ミロは日本の「書」や美術に強い関心を持っていたことをご存知ですか?

1966年の東京と京都での回顧展のために来日した際には、京都の竜安寺や奈良の東大寺、信楽などの各地の窯と日本各地を飛び回り、直接日本の文化に触れ、実際に「書」の手ほどきを受けたほどです。

「日本の書家たちの仕事に夢中になったし、確実に私の制作方法に影響を与えています」と語っているように来日後のミロは積極的に日本の文化を作品に取り入れます。

特に書道における滲みや跳ねの動き、黒く太い線描などはその後の作品に度々みられるようになりました。晩年のミロのアトリエには日本の民芸品や日本文化にまつわる画集が数多く収められていたそうです。

また、1970年の大阪万博ガス館では、陶板壁画「無垢の笑い」を制作しました。スペインの陶芸家アルティガスとの合作として知られるこの作品は、現在、大阪の国立国際美術館で見ることができます。

無垢の笑い
無垢の笑い

出典:Instagram

パブリックアートと版画制作

ミロは、芸術は経済的に豊かな者や知識階級だけのものではないと考えていました。更に「作品は美術館に展示しておくものではない、むしろ街角、野原、出勤や買い物に歩く日常の道に置くべきだ」とも言っていました。この思想は、バルセロナ空港の壁画やミロ公園のオブジェなど、多くのパブリックアートとして実現されています。

版画作品の制作にも精力的に取り組み、特にムルロー工房(現イデム)での制作により、生涯で2,000点以上もの作品を残しました。これらの作品は、現在の美術品市場でも高い市場価値と作品価値を維持しています。

ジョアン・ミロの主要作品

・V・ヌビオラの肖像(絵画):1917年
・カタルーニャの農夫の頭:1924年-1925年
・変身 (絵画):1935年-1936年
・メゾナイトの絵画:1936年
・階段を昇る裸婦(絵画):1937年
・古い靴のある静物(絵画):1937年
・星座 (絵画):1940年-1941年
・バルセロナ・シリーズ(絵画):1942年-1944年
・1968年5月 (絵画):1968年-1973年
・航海士の希望(絵画):1968年-1973年
・王太子殿下(彫刻):1974年
・国王陛下(彫刻):1974年
・女王陛下(彫刻):1974年
・星座に向かって飛び立つ手(絵画):1974年

まとめ

本記事では、20世紀を代表するシュルレアリスムの巨匠、ジョアン・ミロの芸術世界について詳しく解説してきました。いかがでしたでしょうか。独自の視覚言語で表現された作品の魅力と価値について、理解を深めていただけたのではないでしょうか。

ミロの作品は、シュルレアリスムと抽象表現が融合した唯一無二の芸術です。そして、その芸術的価値は国際市場でも高く評価され続けています。特に版画作品は、適切な価値判断のもとで取引されることが重要です。

作品をお持ちの方は、まず専門家による査定をご検討ください。経験豊富なスタッフが、作品の価値判断から売却までを丁寧にサポートいたします。世界が認めたスペインの巨匠・ミロの作品価値を、適切に評価させていただきます。

当社では、あなたの大切な作品の価値を最大限に引き出すべく、丁寧な査定と適切なアドバイスを提供いたします。ジョアン・ミロの作品の買取をご検討される際は、ぜひお問い合わせください。

ジョアン・ミロの作品の買取をご検討される際はこちらをご覧下さい。

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