アンドレ・ブラジリエ|画家の魅力から作品相場まで徹底ガイド

  • アンドレ・ブラジリエ

はじめに

色彩と生命力が融合した独自の世界観で知られる画家、アンドレ・ブラジリエ。1929年にフランスで生まれ、半世紀以上にわたり世界の美術界で高い評価を受けてきました。

特に馬をモチーフにした作品では、独特の色使いと詩的な表現で多くの人々を魅了しています。今回は、ブラジリエの作品の特徴や価値について、美術品買取の観点から詳しく解説します。

アイルランドの騎手
アイルランドの騎手

アンドレ・ブラジリエとは?

画家としての原点と成長

1929年、フランス中西部のソミュールで、画家の両親のもとに生まれたブラジリエ。両親やその友人の影響から、幼い頃から芸術に親しんできました。

1949年にパリのエコール・デ・ボザール(国立美術学校)に入学し、サロン・ドートンヌ会員であったモーリス・ブリアンションのもとで学びました。

受賞歴と国際的評価

ブラジリエの才能は早くから認められ、1952年にはフロレンス・ブリュメンタル賞を受賞。翌1953年には、芸術を専攻する学生に対してフランス国家が与える最高峰の賞であるローマ賞絵画部門でグランプリを獲得しました。

1958年には、ムルロー工房で最初のリトグラフを制作し、同年にパリのドゥルエ画廊で音楽をテーマにした初個展を開催。

1961年に青年画家展でシャルル・モレ賞、1962年にはシュールロット賞を受賞し、サロン・ドートンヌ委員とサロン・デ・チュイルリー委員に就任しました。

日本での活動と評価

1969年、ブラジリエは初めて日本で展覧会を開催。以来、日本との深い絆を築いてきました。特筆すべきは、日本画家の東山魁夷との交流です。

1977年、東山の招待で奈良の唐招提寺を訪れ、当時制作中だった御影堂障壁画を見学しました。両者は馬をモチーフとした作品を多く手がけており、ブラジリエの構図に感銘を受けた東山との親交は、日本美術界との重要な架け橋となりました。

夕陽の中の朱の馬
夕陽の中の朱の馬

アンドレ・ブラジリエの作品の魅力や特徴

代表的なモチーフとその意味

ブラジリエの作品における最大の特徴は、馬のモチーフです。「馬の美しさと自然との調和がとても好きです。自然の中で、馬はスケール感を与えてくれます」と語るブラジリエ。

印象派のドガ以来、上流階級の趣味としての競馬や乗馬が絵画のテーマとして一般的でしたが、ブラジリエはそれを超えた独自の表現を確立しました。

フランス貴族のたしなみであった競馬や乗馬に造詣が深かったブラジリエは、特に1964年にヴェイユ画廊でソーミュールの馬術教官をテーマとした展覧会を開催し、この頃から馬のモチーフが作品の中心となっていきました。

技法別の特徴と表現

油彩作品

ブラジリエの作品の中で最も市場価値が高いのが油彩作品です。特に馬をモチーフにした作品は買取相場も安定しており、コレクターからの需要も高く評価されています。また、花束を持った女性を柔らかく優しいタッチで描いた油彩画も人気です。

渚の乗馬
渚の乗馬

女性と花
女性と花

表現手法としては、厚塗りこそ控えめですが、滑らかな筆致が詩的なモチーフと絶妙に調和し、見る人に穏やかな印象を与えます。特に、森の中を駆ける馬や、オーロラを思わせる幻想的な色彩を用いた作品が称賛されています。

水彩・パステル作品

油彩作品で見られる濃厚な色合いとは対照的に、水彩画では軽やかな表現が特徴です。より臨場感のある作品として知られ、紙に描かれた水彩・パステル作品は、油彩とは異なる魅力を放ちます。

馬と木
馬と木

リトグラフ(版画)作品

1958年にアトリエ・ムルローで始めたリトグラフ制作は、ブラジリエの作品の普及に大きく貢献しました。「ロンシャン競馬場」という鮮やかなグリーンが特徴的な作品は、特に高い人気を誇ります。

ロンシャン競馬場
ロンシャン競馬場

色彩表現の独自性

ブラジリエの作品は、数色の限定された色と単純化された構図が特徴です。時には固有色を無視したピンクや青色の馬が登場し、独特の世界観を創出しています。この色彩感覚はマチスの影響を強く受けており、色彩が与える心理効果を巧みに活用しています。

創作活動の変遷

1958年の音楽をテーマにした初個展以降、ブラジリエは様々な主題に取り組んできました。

1970年にはガストン・ルルーの『黄色い部屋の秘密』の挿絵を手がけ、1972年にはコレットの中編小説の挿絵も制作。1985年には戯曲「ジブレット」の舞台装置と衣装を担当するなど、絵画以外の芸術分野でも活躍しました。

アンドレ・ブラジリエ作品の買取相場・実績

※買取相場価格は当社のこれまでの買取実績、および、市場相場を加味したご参考額です。実際の査定価格は作品の状態、相場等により変動いたします。

青い波の黒い騎兵

買取実績価格:5~7万円

絵画以外に陶磁器(セラミック作品)にも挑戦しています。陶磁器作品も明るく鮮やかな色彩が特徴であり、温かみを感じます。

青い海岸の騎士

買取実績価格:4~6万円

海と空の色が対照的に描いてあり、美しい自然に透明感と柔らかさをもたらしています。

水辺の馬の群れ

買取実績価格:3~5万円

馬はブラジリエにとって代表的なモチーフの一つです。馬を優雅に、そして力強く描き、動物への深い愛情を表現しています。

アンドレ・ブラジリエ作品の査定・買取について、まずはお気軽にご相談ください。

アンドレ・ブラジリエの作品を高値で売却するポイント

来歴や付帯品・保証書

来歴や付帯品:購入先の証明や美術館に貸出、図録に掲載された作品等は鑑定書が付帯していなくても査定できる場合があります。
保証書:購入時に保証書が付帯する作品もあるので大切に保管しましょう。

贋作について

ここ数十年のインターネットや化学技術の向上により、著名作家の贋作が多数出回っています。

ネットオークションでは全くの素人を装い、親のコレクションや資産家所蔵品等の名目で出品し、ノークレームノーリターンの条件での出品が見受けられます。

落札者は知識がないがために落札後のトラブルの話をよく聞きます。お手持ちの作品について「真贋が気になる」「どの様に売却をすすめるのがよいか」等、お困りごとがあればご相談のみでも承っております。

水彩・デッサン

状態良好、保管方法

主に紙に描かれていることの多い水彩やデッサンは、モチーフに対して紙の余白がある反面、しみや日焼けが目立つ事があります。

油彩画(額)

状態を良好に保つ為の保管方法

油絵は主に布を張ったキャンバスと言われるものに描かれています。他にも板に直接描かれた作品もあります。油絵の具は乾燥に弱く、色によってはヒビ割れ目立つ作品が見受けられます。

また、湿気によりカビなどが付着しやすく、カビが根深い場合は修復困難となってしまいます。高温多湿を避け、涼しい場所に飾りましょう。また箱にしまったままも湿気やすい為、最低でも年に2回は風を通すようにしましょう。

修復方法

油彩画修復の専門店にお願いすることが1番です。下手に自身で手を入れると、返って悪化するケースもあります。

版画

共通事項(状態を良好に保つ為の保管方法)

版画には有名画家が直接携わり監修した作品も多くあります。主に版画作品下部に作家直筆サインとエディション(何部発行した何番目の作品であるか)が記載されています。

主に紙に刷られており、湿気や乾燥に弱いです。また直射日光が長期間当たると色飛びの原因になります。掛ける場所・保管場所には十分注意しましょう。

リトグラフ

石版画とも言われ、ヨーロッパの歴史では古くから用いられてきました。日本でも昭和から活発に使用され、各地にリトグラフ専門の工房が存在します。

シルクスクリーン

枠にメッシュ素材(シルクやナイロン)の布を張り、油性描画剤で直接絵を描いたり、マスキングをし絵の具の通る部分通らない部分を作った版を紙に乗せ写しとる技法です。絵画以外にも写真や被服等にも応用されています。

アンドレ・ブラジリエについての補足情報

展覧会活動と美術館での評価

美術館

1984年にはメットラッハの陶器美術館で陶器の展覧会を開催。その後、パリ美術館をはじめとするヨーロッパの主要美術館で数多くの作品が展示されるようになります。

2004年にはドイツのコンスタンツ湖畔マイノー城での展覧会を開催し、翌2005年にはロシアの名門エルミタージュ美術館で回顧展が開かれ、大きな反響を呼びました。

近年では2013年にロンドンのオペラギャラリーで未発表作品30点による個展を開催するなど、世界各地で精力的な展覧会活動を続けています。

現在では、パリ美術館やオランダ美術館をはじめとした、ヨーロッパの主要な美術館で作品を目にすることができます。

公共作品と創作活動

ブラジリエは絵画制作だけでなく、様々な芸術分野で才能を発揮してきました。

1970年代には文学作品の挿絵制作に取り組み、ガストン・ルルー『黄色い部屋の秘密』やコレットの中編小説の挿絵を手がけました。

1985年には舞台芸術の分野にも進出し、戯曲「ジブレット」の舞台装置と衣装をデザイン。

さらに1987年には、プロバンス地方のヴァンスで15×3メートルの大規模なモザイク画を制作し、同年、マルセル・プルースト『スワンの恋』を題材とした作品を印刷局用に手がけるなど、その創作活動は多岐にわたっています。

現代アート市場での位置づけ

バブル期に最盛期を迎えた作家の一人として知られるブラジリエの作品は、現在でも安定した相場を維持しています。特に油彩作品は高額での取引が続いており、美術品市場での評価も堅調です。

大判の油彩画であればモチーフにより数百万~1,000万近い評価が出ることもあります。

まとめ

アンドレ・ブラジリエは、独自の色彩感覚と詩的な表現で、現代フランス画壇を代表する画家としての地位を築いてきました。特に馬をモチーフにした作品は、自然との調和を追求した珠玉の作品として高く評価されています。

半世紀以上にわたる創作活動を通じて、絵画のみならず、挿絵や舞台美術など、幅広い分野で芸術性を発揮し続けているのです。

ブラジリエの芸術世界、少し身近に感じていただけたでしょうか?作品をお持ちの方、興味を持たれた方は、ぜひ一度専門家による査定をご検討ください。新たな発見があるかもしれません。

当社では、あなたの大切な作品の価値を最大限に引き出すべく、丁寧な査定と適切なアドバイスを提供いたします。アンドレ・ブラジリエの作品の買取をご検討される際は、ぜひお問い合わせください。

アンドレ・ブラジリエの作品の買取をご検討される際はこちらをご覧下さい。

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