2024.03.12
変幻自在に進化する日本画家 堂本印象
画風がガラリと変わる画家といえば誰をイメージしますか?
今回ご紹介する堂本印象は「画家とは一つの様式に捉われず、次の新たな芸術を創造すべき」という理念を掲げ、日本画から始まり洋画、そして独自の抽象画へと画風を発展させた近代日本画家の巨匠です。作品数が多く、絵画や陶磁、障壁画など多彩なジャンルで人々に親しまれています。
新造形を追求する印象の創作活動
1891年生まれの堂本印象は西山翠嶂に師事し、線を意識した伝統的な日本画を手掛け、帝国美術院展覧会で活躍しました。そして転機となる戦後の60代では、初の渡欧をきっかけにこれまでの日本的概念に捉われず、西洋美術の表現を積極的に取り入れ、画風に多様な変化を起こしました。これまでの日本画から和洋の概念を折衷した具象画、そして幾何学的な抽象画へと移り、更に作品は印象自身が「新造形」と呼ぶ定型を持たず、しかし日本的な抽象画に発展してゆきます。この新たな表現を用いた作品はトリノなど海外の展覧会で注目され、前衛的な日本画家として世界的に賞賛を受けました。
鮮麗な色彩と墨線による抽象画
「新造形」の作品として装飾的で鮮やかな色彩と墨による抽象画が有名です。墨線が日本的ながら、西洋の抽象表現を含む作品には華やかさと共に静けさを感じられますね。また、印象は宗教画家としても著名で昭和10年代を中心に仏画の制作に勤しみました。仏教への強い信仰心があり、その観念に精通していた為抽象画家として活躍後の最晩年にも再び仏画制作を再開しました。絶筆となる作品には独特の形容し難い抽象表現を感じられます。
古都にて未来へ語り継がれる印象芸術
1966年に印象は自ら京都府立堂本印象美術館を設立しました。印象が設計した異彩を放つ抽象的なデザインは建物自体が作品のようにユニークです。鑑賞だけでなくひと休みできるスポットまでありますので、お好みの企画展が行われている時期もご確認のうえ、是非足を運んでみてください。