作家・作品紹介

Pierrot《道化師》

こんにちは。寒さに弱い私のような人間にとっては過ごしやすい温かい気候になってきて大変気分の良い毎日を送らせていただいておりますが、このブログをご覧いただいている皆様は如何お過ごしでしょうか?

さて、春に相応しいテーマであれば真っ先に桜が思い浮かぶところなのですが、既に桜をテーマとしたコラムは書かれていますので季節とは関係のないテーマでお話をさせていただこうと思います。

映画館で公開され人気を博したスティーブン・キング原作の「IT」、私は最近になってDVDで観ましたが皆様はご覧になったでしょうか?映画の内容についてのレビューや評論は差し控えるとして、この映画に出てくる『ペニーワイズ』というピエロをCM等で一度は見た方も多いのではないでしょうか。そうでなくとも、今までに一度はピエロを見た事はあるのではないかと思います。

まずは、ピエロについて少しだけ説明をさせていただこうと思います。日本においては顔を白く塗った道化師を総じてピエロと称するのが一般的ですが、本来ピエロというのはクラウンという役の一つである事をご存知でしょうか?

クラウンもピエロも広義の意味では同じ道化師ですが、ピエロはその中でも、おどけ役であるクラウンよりもさらに馬鹿にされる芸風を行います。また、ピエロは目元に涙のメイクがあるといった事でも区別ができます。

ただ、、クラウンとピエロを別物として話すと混乱を招きそうですので、今回は区別をつけずに呼称を『ピエロ』と統一してお話をさせていただきます。

ピエロは、16世紀のイタリア即興喜劇コメディア・デラルテから生まれたとする説があります。その起源である道化師の歴史は古代エジプトまで遡る事ができ、中世においては貴族達を楽しませる為のペットと同じ意味で所有されていたという歴史もあります。

その一方で、彼らは笑いものとして奴隷のような人間としても見なされない代わりに、絶対的な権力者である君主へ無礼な事でも自由に発言する事が許されている唯一の存在でもありました。犬猫が鳴いたり粗相を働くのは動物なのだから仕方が無く、躾は別として本気で怒ったりはしませんよね?それと似たような感覚でしょう。

お調子者で愉快なピエロですが、前述したペニーワイズの様に時には恐怖の対象として見られる事もあります。日本ではあまり馴染みのない言葉のように思いますが、『ピエロ(道化)恐怖症(Coulrophobia)』というものがあります。

これは、その名称からも解る通りピエロの風貌に対する恐怖症で、有名なところではジョニー・デップ氏は自分がピエロ恐怖症であると明かしています。さて、ピエロについて書いてきましたが、ここからは弊社の生業である絵画に関連した話をさせていただきます。
先程、名前をあげたジョニー・デップ氏、彼が恐怖症を克服する為に購入したというピエロの絵があります。作者は、ペニーワイズのモデルになっていると言われるJohn Wayne Gacy(ジョン・ウェイン・ゲイシー)です。人によっては、彼の描いたものを作品と呼ぶ事に嫌悪感を抱くかもしれません。

何故なら彼は、所謂シリアルキラーと呼ばれる犯罪者でした。キラークラウンとも呼ばれた彼の存在が、アメリカにおけるピエロ恐怖症の一因でもあるのでしょう。作者である彼の人間性や作品の出来栄えについての言及はしませんが、彼のピエロの絵は高値で取引される事もあるそうです。

日本においてピエロの絵として人気があるのは、ビュッフェや塙賢三さんの作品でしょうか。ビュッフェはサーカスシリーズでピエロを主題とした作品をいくつも見る事ができます。また、塙賢三さんをご存知の方は、ピエロの絵と聞けばそれこそ真っ先に彼の描いた作品を連想されるのではないでしょうか。

ビュッフェの作品は暗い印象ですが、塙賢三さんの作品は明るかったり淡い色合いの作品も多いので好まれる方も多そうな印象ですね。ビュッフェも塙賢三さんも、弊社では積極的に買取をさせていただいておりますので、お持ちの方は是非査定だけでもお問い合わせください。もちろん、ピエロの絵でなくても大丈夫ですよ。

最後に、映画等の影響でピエロは恐ろしい存在というステレオタイプ的な刷り込みも少なからず存在します。そういったイメージのせいで、ピエロを無条件に恐れ遠ざける人も中にはいるそうです。しかし、ほとんどのピエロ及びクラウンといった方は善人で、人を笑わせ喜ばせるのが好きな人々です。絵画として描かれたピエロを鑑賞して楽しむのも勿論おすすめですが、サーカスに限らず一度は実際のピエロを見てみるのも楽しいのでおすすめですよ(・∀・)

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