2020.12.15
木版画の巨匠 斎藤清
今回は福島県の文化功労者。斎藤清を紹介します。
斎藤清と会津
会津を題材にした代表的な版画作家と言えば斎藤清ですね。
四季折々を描いた作品の数々は、季節によって表情を変える表情豊かな会津の魅力を伝えてくれます。描かれているのは町だけではなく、猪苗代湖、お寺、神社を取り入れていることから、思い入れの強い情景や、幼少期を過ごした彼にしか気づかないであろう構図があったのではないでしょうか。
冬の情景
代表的なシリーズとし「会津の冬」、「柿の会津」、「凝視(猫)」、「慈愛(仏)」、などがありますが、中でも特に高い人気をほこるシリーズは「会津の冬」ではないでしょうか。
50年以上をかけて100点もの作品が制作され、亡くなる直前まで制作意欲が衰えることはなかったそうです。
雪景色は白と黒が基調となりますので単調になりがちな構図ですが、斎藤清の雪景色は作品により全く表情をみせ、飽きることがないのも魅力の一つだと感じます。
秋から冬に変わる過程が描かれている作品は、白と黒の中に淡い果実の色味がとても鮮やかに描かれており、柔らかな雰囲気は郷愁をよびおこします。
一転、雪が降り積もった後の会津の景色からは厳しい冬の静寂さが伝わります。余計なものは一切なく本当に描きたかったものだけが残っていたのかもしれません。
木版画との出会い
初めから木版画家として活動していたわけではなく、初期の頃は油彩画を展覧会に出品していたようです。しかし、巨匠、安井曽太郎の木版画「初姿」と出会い衝撃を受けたことから木版画の世界に没頭していくこととなります。作品の制作は順調で、制作した木版画は見事展覧会に入選を果たします。
代表的な「会津の景色」だけでなく、京都や奈良、鎌倉などの地域を描いた作品も多く制作されました。
斎藤清のアトリエ館
最後に斎藤清アトリエ館の紹介を簡単にさせていただきます。
こちらは福島県河沼郡柳津町にありまして、斎藤清が晩年の10年余を過ごした、仕事場兼住まいとなります。作業場は制作の道具が生前のまま残されているそうなので、ファンの方は必見です。
斎藤清美術館から歩いて行ける距離にあるそうなので、美術館で作品を見てから足を運んでみるのも面白いでしょう。