2020.10.06
アフレスコ画の第一人者 絹谷幸二
皆さんはアフレスコ画を描く画家をご存知でしょうか?今回は独自の技法と色彩豊かにユニークな画風で描く「絹谷幸二」をご紹介させていただきます。
絹谷幸二の生い立ち
生まれは奈良市の興福寺や東大寺が近い場所で、静かな環境に育った幼少期でありました。
また家には志賀直哉や東大寺の上司海雲などもよく遊びにきており、文化的な雰囲気の家庭だったそうです。これらの育った中の環境で感じ、見てきた社寺や民家の白壁や築地塀のもつ、素朴で堅牢な質感が後年アフレスコ画を描き出すひとつの契機として、意識の内部で作用したとされております。
東京芸大油画科を卒業した後に大学院の壁画科に入りましたが、その頃は特に壁画に興味をもっていたわけではなく、この頃に同じ学科のイタリア人がフレスコの修復を学んでおり、技術を教えるようになってからアフレスコの制作に向かわせる契機になったそうです。
その後ヴェネチアへ留学することになり、より一層アフレスコ画という技法に専念していきます。
滞欧中の作品あたりから、既に独自の画風を確立していたそうでその特色として、飛散するような躍動的なイメージと幾何学的なフォルムの結合によって生み出される異様な空間表現が見受けられると思います。
また色彩は豊かであるがアフレスコ特有のやや沈んだ堅固な色感と質感も感じられます。
変わって風景画となると都市や風景などを真正面から捉え、その上に耀く太陽や夜空に煌く星や月が描かれダイナミックで野生的な迫力に溢れておりますね。またその太陽などは児童画のように素朴で直截なイメージで描かれております。
このような画風から壁画の制作で知った描くことの原始的な喜びを持って、活き活きと描いていることを感じることができます。
大阪に「絹谷幸二天空美術館」があり、そこでは様々な作品を見てることができ、3Dの大画面で作品の臨場感も味わうことができます。機会のある時に是非一度絹谷の世界観を見て感じていただきたいです。