2019.12.10
スヌーピー公認アーティスト トム・エバハート
今回は、トム・エバハートを紹介します。
彼は、今でこそスヌーピーで有名な作家ですが、元々はニューヨークやパリで絵画を学び、風景画家として活躍していました。そんな彼がどのようにしてスヌーピーやその仲間たちを自由に描くことを許される唯一の「公認」アーティストになったのでしょうか?
トム・エバハートとチャールズ・M・シュルツの出会い
1982年、PEANUTS原作者のチャールズ・M・シュルツと広告のプロジェクトで出会いました。
原作者のシュルツは、アシスタントをつけずに全て1人で75カ国の連載をしていました。そのため、広告などの仕事を一緒にしてくれるアーティストが必要としていました。
トムは、この時にシュルツから直々に絵の指導を受け、2週間という短い期間でシュルツの絵のラインをマスターしてしまいます。それに感動したシュルツは広告・キャンペーンなどコミック以外のプロジェクトをトム・エバハートに任せることにしました。
トム・エバハートは、このプロジェクト以降約8年間にわたり500件ものプロジェクトに関わることになります。その期間に原作者のシュルツから、誰にも教えてこなかったキャラクターの描き方をトム・エバハートにのみ教えます。身内にも教えていなかったみたいですので、このエピソードでシュルツがトム・エバハートを信頼していたか分かりますね。
PEANUTSのキャラクターに新たな命を吹き込む
しかし、トム・エバハートは、1988年病に倒れます。癌を併発し、病状も深刻で、これまで続けてきたプロジェクト、画家としての創作活動を休止せざるを得なくなりました。そんな闘病生活時には、シュルツからたくさんのPEANUTSのキャラクターのスケッチが贈られてきたそうです。
そして翌年、彼は奇跡的に病を克服します。そして彼が取り組んだことは、PEANUTSのキャラクターと自分のアートスタイルを融合させ、キャラクターたちに新たな命を吹き込むことでした。
しかしながら、彼の最初の作品は、キャラクターではなく、キャラクターが不在の中に命を吹き込むという、ピアノや花、フライングエースのコスチュームだけという作品でした。
この作品をシュルツに見せたところ、彼は大変感激し「自由の祝福」と賞賛しました。これをきっかけに世界で唯一PEANUTSのキャラクターの取り決めのない、自由な表現で描くことができる「トム・エバハート」は誕生したのです。
スヌーピー公認アーティストの誕生
1999年、シュルツが引退を発表した際に、「今後一切PEANUTSのキャラクターを使用してアートを表現することを出来ることをトム・エバハートだけに許可する」という契約書が贈られます。
こうして、誰にも親しまれるスヌーピーの世界を独自のアートで表現する、世界でただひとりの「公認」アーティストが誕生したのです。